ナマクラ!Reviews

04/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31./06

第6回小説すばる新人賞 受賞作:ジャガーになった男/佐藤賢一

ジャガーになった男_0001 (202x290)
(あらすじ)
伊達藩士・斉藤小兵太寅吉は恋人を捨て、冒険を求めて支倉常長遣欧使節に加わった。着いたイスパニアはすでに全盛期の栄光を失っていたが、一人のイタルゴと意気投合し、共に戦場に赴くために、帰国する使節団と訣別する決心をする。

answer.――― 80 点
専門家も唸る“知識”をあくまでエンターテイメントの一要素として作中に溶け込ませる作家というと、史実の分野では「大蟻食」佐藤亜紀―――そして、この「ピエール」佐藤賢一が個人的にまず思い浮かぶ。両者ともに唸るどころか、のけ反らせられる“知識”をさらりと披露してくれるが、後者は後に『王妃の離婚』で直木三十五賞を受賞したように、バトル有りマス!な分かり易い大衆へのアピールも含んでいるのが特徴。本作もデビュー作ながら、今現在に続く魅せ方がしっかりと刻まれている。イスパニアに渡った凄腕の剣士・寅吉が現地の娘エレナと恋に落ちて帰国を拒み、しかし己の腕を振るう場を求めるうちに悲劇へ雪崩れ込むストーリーライン。とにかく、重厚である。寅吉はヒロインの兄にそそのかされるままに戦場を駆け巡り、エレナの心を壊していく。夢を追うのか、愛を取るのかの取捨選択は実に情動的で悲劇と呼ぶに相応しく、読み手に安易な感想を抱かせることを良しとしない。その意味で読者を選ぶ作品ではあるが、故に選民的満足感も得られるのが罪深いところ。遊び心溢れるハイライトは、寅吉とかの銃士隊隊長トレヴィルとの対決。三銃士の面々でなく、あえて隊長トレヴィルを採用してきたところが心憎い演出だ。また、表題『ジャガーになった男』も度肝を抜く仕掛けになっているので、悲劇であっても最後まで頁をめくって頂きたい次第。デビュー作ながら、大器を予感させる秀作です。

第6回小説すばる新人賞 受賞作:ジャガーになった男/佐藤賢一

category: さ行の作家

tag: OPEN 80点 佐藤賢一 小説すばる新人賞

[edit]

page top

« 第7回小説すばる新人賞 受賞作:恋人といっしょになるでしょう/上野歩  |  第6回小説すばる新人賞 受賞作:天使の卵 エンジェルス・エッグ/村山由佳 »

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/1250-8601bf7b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top