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第7回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:糞袋/藤田雅矢

糞袋
1.高瀬川
2.肥えとりはん
3.町の噂
4.茶乃湯事件
5.いろはの手洗い屋
6.ぽんと丁
7.田島屋
8.おきよちゃん
etc...

answer.――― 72 点

賞としての曲がり角、今回は低調、思わずため息が出た……選考委員の総評として、日本ファンタジーノベル大賞創設以来の<不作>と断じられた第七回。そんな事態を象徴するようなタイトルを持つ本作「糞袋」は、始まりから終わりまで、まごうことなき糞尿譚。江戸時代、京都を舞台に、ただ生きるため、肥えたごを担ぎ、人の糞尿を集め歩くことしか知らない主人公が持ち前の機転とわずかな幸運、そして、皮肉にも勝手知ったる「糞尿」によって成り上がっていく物語。「糞尿」という未開拓ながらも当然とついてまわる忌避なテーマを、遊女集う<いろまち>を話の中心に据えることで中和を図っているのは著者の強かなバランス感覚。また、文章の工夫として<匂い>を表現に織り交ぜ、汚物のイメージから遠ざけている。このような仕掛けで、糞尿を扱いながらも時に品に足る錯覚さえ覚えられるのが本作の醍醐味と云える。白眉な場面として、中盤の山場―――己が当代随一のスカトロジスト!と自負する面々が仮面を被り、女郎たちの糞尿を食す品評会はまさに華麗なまでの地獄絵図。接待役を務める主人公の佇みっぷりも堂に入っている。序盤、女郎を買うあたりで方向性を変えてくると思ったが、そこからさらに糞尿譚として加速させたのは圧巻の一言。ただ、読み手のための作品か、作品のための作品か。本作は読者を突き放したタイトルからも後者を選択肢したはずなのだが、その実、中身は読み手を意識して書かれている。この齟齬が頂けない。このアンバランスさが選考委員の鼻につき、演技がかったため息を吐かれたのだろう。単なる読み手としては、「解体新書」でこの世のすべてを悟る構成にして欲しかったな、と。日本ファンタジーノベル大賞らしい読み応えのある一作。

第7回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:糞袋/藤田雅矢

category: は行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 70点 藤田雅矢

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