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角川文庫:村田エフェンディ滞土録/梨木香歩

村田
1.鸚鵡
2.驢馬
3.ヨークシャ・プディング
4.神々の墓場
5.アジの塩焼き
6.羅馬硝子
7.ニワトリ
8.雑踏の熊と壁の牡牛
etc...

answer.――― 73 点

梨木香歩の散文的秀作『家守綺譚』の一節に舞い込む、主人公へ土耳古より届けられた手紙……その差出人である村田のトルコ滞在記。いわゆる派生作品ゆえに多少の差こそあれ、小説としてのフォーマットは本編同様の連作短篇。『家守綺譚』では日本人の感性をくすぐる四季折々の妙を楽しむ形だったが、本作は欧羅巴と亜細亜の中継地点である土耳古が舞台ということで、必然と異文化へのカルチャー・ショックを楽しむ体となっている。主人公の住む下宿先もその縮図としてか、住人は英国人、希臘人、独逸人、そして、土耳古人と多彩な顔触れ。且つ、それぞれ信じる宗教も違うという手の込みよう。―――ムハンマドが通りで鸚鵡を拾った。と一行目から淡々と告げてくれるアラビアンなゴングは、先の作品で取り込んだファンにすれば嬉しい予定調和。ただ、想定外に―――本作、読みにくい。文章が下手どうこうという訳ではなく、頁が進まない。原因は、二点。女性キャラクターがなかなか登場しないことと、周りがすべて外国人という気が休まらないアウェイな状況から。これが読み手を窮屈にしている。本作では『家守綺譚』が持っていた<言わずもがな>な情緒が上手く機能していない。これは物語の舞台が馴染み薄い土耳古という舞台だからだ。本作は散文的な進め方ではなく、最初から己の逆境を跳ね返すような強い意志―――「物語」が必要だったと思う。表題の<エフェンディ>とは学問を納めた人物の敬称。村田エフェンディにはもう少し主役として動き回って欲しかった。

角川文庫:村田エフェンディ滞土録/梨木香歩 (2004)

category: な行の作家

tag: OPEN 70点 梨木香歩

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コメント

こんばんは!

こちらでははじめまして!
自分の稚拙ブログにご訪問ありがとうございました☆

なかなかクセのある作品なので評価も人によってまちまちですよね。
いろんな感じ方あっても全然OKだと!
自分はかなり楽しめたかなあ?
わりと梨木サンの作品好きなんですよね!

Medeskiサンのレビューも熟読させていただきました!
点数つけるのが良いですねー☆

惺 #- | URL | 2011/06/04 21:18 | edit

Re: 惺

訪問&コメント、有難うございます!

> Medeskiサンのレビューも熟読させていただきました!
> 点数つけるのが良いですねー☆

辛口な上に点数をつけているもんだから、凄い酷評に見えるみたいです(笑)個人的には、65点以上は満足していないだけで楽しめた意味合いが多いので、そういう風に解釈して頂ければと思います。私もちょくちょく訪問させて頂くことになる気がするので、宜しければ私の赤ペンレヴューも読んで頂ければと思います。重ね重ね、コメント、有難うございました!

Medeski #- | URL | 2011/06/05 15:30 | edit

ホーム&アウェー

こんばんは。
いつもながら、これだけ簡潔に端的に
レビューを書けるのが凄いです!
私も見習いたいと思いつつ、なかなか...

確かに「家守綺譚」と本作は、関連本とはいえ、
とっても対照的、というのか、ほぼ真逆な視点で
描かれた小説ですね。

そこが面白いといえば面白いのですが、
「アウェー感」はまさに、という感じです。
「家守~」はその点、完全な「ホーム」ですね。

私は別の意味でどちらも好きですが、
「家守~」の方が心休まるのは確かです。

ちゃき #FougNG3M | URL | 2011/06/05 22:20 | edit

こんばんは~。

Medeski さん、こんばんは。そして、初めまして。
ブログをご訪問&コメント頂き有り難うございました。

「村田エフェンディ滞土録」には元本があるのですね。私は、肝心の「家守奇譚」の方を読んでいないのですが… 「散文的なのに、最後にストーリーがあったと驚かされる」というのは、とっても気になります。

梨木さん不思議な作風の方ですよね。時々に、私には理解不能な作品もあったりするのですが、文章に独特の空気感があって、気になる作家さんです。

Medeskiさんの採点表、興味深く拝見しました。
きっと、頭の中がすごく整理されている方なんだろうなぁ…と拝察しております。 私は、とても1点刻みで考えたりできません。超大雑把な点数の付け方をしていますが、それですら、翌朝目が覚めてみると「いや、実は、意外と面白かったかも…」と気分が変わってしまうような曖昧なものです。

また、時々、お邪魔させて頂きます♪

おりおん。 #- | URL | 2011/06/06 00:12 | edit

Re: ちゃき

コメント、有難うございます!

> いつもながら、これだけ簡潔に端的に
> レビューを書けるのが凄いです!
> 私も見習いたいと思いつつ、なかなか...

自分が書く分にはもっと短い三行ほどのレヴューが理想なんですが、どうしても見栄えが良くしたいのか、飾りたくなってしまいますね。ちゃきさんのレヴューは作品の概要を知る/思い出させる、そこから見逃していた点を考えさせてくれる点で凄く有用なレヴューだと思います。少なくとも私は最後まで読めるので、文量なんて気にせず、バンバン書いて欲しいですね。

> 私は別の意味でどちらも好きですが、
> 「家守~」の方が心休まるのは確かです。

勝手に癒しを求めてしまい、そこで少し損をしてしまいました。時間を置いて、もう一度読みたいと思っています。しかし、ちゃきさんのお陰で村田エフェンディに出会えました。本当に有難うございました。他にも派生作品出さないか、これからはしっかりチェックしようと思います。

Medeski #- | URL | 2011/06/06 00:20 | edit

Re:おりおん

コメント、有難うございます!


「散文的なのに、最後にストーリーがあったと驚かされる」というのは、とっても気になります。

村田エフェンディ滞土録が気に入ったなら、間違いなく「家守綺譚」も気に入ると思います。まさに徒然なるままな作風で、その癖、ストーリーが隠れていました。


私は、とても1点刻みで考えたりできません。超大雑把な点数の付け方をしていますが、それですら、翌朝目が覚めてみると「いや、実は、意外と面白かったかも…」と気分が変わってしまうような曖昧なものです。

ゴメンナサイ、細かくしたいところなんですが、結局はその時の気分だった、という場合も事実としてあります。やはり5点前後は動きますね。点数付けは、それ自体が訪れる人(自分h組む)が面白いと思ってやっているので、「え~これは嘘でしょー」な自身の反応を楽しんで頂ければと思います。


また、時々、お邪魔させて頂きます♪

有難うございます!私のほうもお邪魔することがあると思うので、その際は宜しくお願い致します!

Medeski #- | URL | 2011/06/06 02:07 | edit

リンク、有難うございます。
私もリンクさせていただきました。
なんだか、exite ブログはこのあたりの使い勝手がイマイチで...。

こちらこそ、今後もよろしくお願いします。

ちゃき #FougNG3M | URL | 2011/06/11 06:25 | edit

Re: ちゃき

レヴュー、楽しみに読ませて頂いております!これからも宜しくお願い致します!

Medeski #- | URL | 2011/06/11 15:52 | edit
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