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第21回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:月桃夜/遠田潤子

月桃夜
1.海のはなし 1
2.島のはなし 1
3.海のはなし 2
4.島のはなし 2
5.海のはなし 3
6.島のはなし 3
7.海のはなし 4

answer.――― 78 点

遭難するカヤックに降りてきた鷲が語る物語。その舞台は、薩摩に支配された奄美―――そこでは砂糖がすべてであり、砂糖を産み出すための徹底した階級社会が成り立っていた。ドストエフスキー、森鴎外の作品の「理不尽な何か」に惹かれたという著者らしく、何ともサディスティックなシチュエーション。そして、そんな過酷な環境下でボーイ・ミーツ・ガールを果たす主人公とヒロインはともに両親を亡くした農奴の上、齢は順に七と五と、設定それ自体からも世に見捨てられた存在。<健気>という言葉はメリケンが訳せば<BRAVE>となるのは有名な話だが、本作は「メリケンよ、これが<健気>というものだ!」と涙を流して説きたくなる悲運のファンタジー。幼少の頃に誓った義兄妹の契り、そして、山の神への願いがどこまでも二人を苦しめる。絶対に逃れられない運命に抗うべく、主人公がわずかな希望を託し研鑽し続けた囲碁が、薩摩からやってきた侍の目に留まった……なんて宣伝文句のような言葉を並べてしまったが、本作には期待してしまう展開、そして、鷲が語っている事実から察せられる受け入れ難い予感が交錯する。ただ、物語の終着地点での読後感は人それぞれと予想は出来つつも、それが是でも非でもBoo!垂れることはないクオリティに仕上がっているとは思う。何にせよ、<健気>な一作。序盤早々、二人が義兄妹となるシーンは涙腺が決壊すること必至の名場面。ライトノベラーで『ミミズクと夜の王』に胸を打たれた人なら本作でも確実に打たれるので、……大人の階段(ファンタジー)を登りたくなったらどうぞ。

第21回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:月桃夜/遠田潤子

category: た行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞大賞 OPEN 70点 遠田潤子

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コメント

こんにちは。
この本、私も読みました。
なんとなく沖縄の影に隠れてか、あまり知られていない
奄美大島の過酷な歴史を知ることが出来る、
ファンタジーではあるけれど、唯の架空の話では
終わらないような読み応えでした。

これを読んだ後しばらく、
神様に安易に願い事をするのが怖かった記憶が...。
忘れてましたけど。

「メリケンよ、これが<健気>というものだ!」には
笑ってしまいました。確かに...。

ちゃき #4oEP430Y | URL | 2011/06/19 10:53 | edit

Re: ちゃき

コメント、有難うございます!

レヴュー拝見しました。ちゃきさんのレヴューはやはり要約の仕方が上手いなと改めて思いました。私、このレヴューを書くとき、どういう書き方がベターなのか久しぶりに分からなくなり、二日くらい放置しました。というのも、囲碁で成り上がるのが面白そうなんだけど、囲碁、スパイス程度だしな。ぶっちゃけ、ストーリー自体はオーソドックスだし……と思ったら、そうだ、読むべきは奄美の歴史か!とちゃきさんのレヴューで気づかされました。

> 「メリケンよ、これが<健気>というものだ!」には
> 笑ってしまいました。確かに...。

自分の理想としては、読了者には1レヴューに1笑いを設けたいところなんですが、成功率は芳しくありません。今回は上手くいったみたいで、何よりです。ちなみに、自分が一番気に入っているレヴューは「ひかりのまち」です。書き口は下品ですけど、あの作品へ対する私の惜しみない愛が込められています。

Medeski #- | URL | 2011/06/19 12:34 | edit
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