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第6回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:バガージマヌパナス ― わが島のはなし/池上永一

パガージ
(あらすじ)
仲宗根綾乃は高校卒業後、進学もせず、就職もせず、86歳の大親友オージャーガンマーとひたすらだらだらと過ごしていた。一生、このまま過ごしてやる!という強い決意のもとに……しかしこの数日、煩わしい夢が繰り返されていた。それは、『ユタにならなければ神罰が下る』という怠け者の綾乃には受け入れ難い内容。オージャーガンマーは、綾乃にユタになった方がよい、と諭すが……。

answer.――― 71 点

星の数ほどある読み物のうち、十にひとつ……あるいは、もっと大きな確率で頁の進まない小説と出会う。それは単純に「面白くない」という要因もあるだろうが、それと並ぶ要因に「話が見えない」ことも挙げられると思う。〇〇を倒す話、○×になる話、〇×△に帰る話……といった具合に、概要を一言でまとめられない話には見えない負荷が付きまとう。沖縄は石垣島を舞台にした本作もその手の問題を抱え、序盤から中盤まで物語の見えないウチナータイムに付き合わされる。ただ、本作が各所のレヴューサイトで評判高いのは、物語が定まる終盤―――主人公・綾乃がユタと呼ばれる巫女となり、社長となり、年の離れた唯一の友達オージャーガンマーを助手に、専務に宛てがって、小さな島を駆け回るところから。動いていく物語と陰ながら同時進行していくオジャーガンマーの変化が物語の終わりを予感させてくれる。そうして、―――綾乃は今日も島のどこかで拝んでいる。で〆られる本作は<綾乃がユタになる物語>ではなく、<オジャーガンマーがひっそりと息を引き取るまでの物語>だったことが分かる。本作の読了直後、目の前は類を見ないほど澄んだ景色になる。この景色に出会うために本作を読む価値があると思う。とりあえず、私は自分の先祖へ線香を立てたくなった。著者の出身地だけに、沖縄の、石垣島の文化をよく消化している。楽しい思い出の本質が哀しみと繋がっていることを教えてくれる作品。

第6回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:バガージマヌパナス ― わが島のはなし/池上永一

category: あ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞大賞 70点 OPEN 池上永一

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