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第18回山本周五郎賞 受賞作:明日の記憶/荻原浩

明日の記憶
(あらすじ)
家庭も省みず仕事に生きる49歳、広告代理店のやり手営業マン、佐伯雅行。仕事においては大きなクライアントとの契約が決まり、プライベートにおいては娘の結婚が決まる、と順風満帆に見えた彼だが、めまい、幻覚といった不可解な体調不良……何より、ひどい物忘れに襲われる。妻・枝実子に促され、しぶしぶ忙しい仕事の合間を縫って病院を訪れ診察を受けた結果、医師から若年性アルツハイマー病という診断を下される。

answer.――― 77 点

アルツハイマーを題材にした小説は、人生で一度、必ず読んでおくべきだと思う。そして、追体験―――記憶を失うことの何が恐しいことなのか、記憶のある残された時間で何をすべきなのかを考え、自分にとっての最善を見い出しておく必要がある。かの渡辺‘spモード’謙の熱望により映画化も果たした本作「明日の記憶」。あらすじの通り、アルツハイマーと判明してからの主人公の恐怖、家族の戸惑いが基本のストーリーライン。生き甲斐であった職を追われ、信頼していた人に裏切られ、……の記憶とともに失っていく日常が胸を打つ。しかし、この手の話はストーリー的にはどれも大して差が無く、どう落とすのかが作家の腕の見せ所となる。その点で、本作は非常にベターな印象。必要以上に救いがあるわけでもなく、限りない絶望に陥ることもない。ラストシーンで妻に掛ける言葉はどれも絶望を内包しながらもひたすら優しい。そんなラストを迎えて分かることは、本作は「アルツハイマーとどう戦っていくのか?」ではなく、「アルツハイマーに罹ってしまったら?」と読者に問い掛ける作品だったことが分かる。おそらく、作者なりの<答え>が出ていながらぼやかしている印象を受けた。その辺、家族の心理がほぼ描かれていないあたりで判断出来ると思う。非常に読みやすく、イベントもよく起こるのでエンターテイメントの観点からもアルツハイマーを追体験する小説としてお薦め出来る。お約束だが、合い間合い間に、症状の進行を知らせるように壊れていく日記を挿し込んで来ることを付け加えておく。

第18回山本周五郎賞 受賞作:明日の記憶/荻原浩

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 荻原浩 本屋大賞 山本周五郎賞

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コメント

こんにちは(^^)

なんっていいますか、奥さんの覚悟が伝わってきました。
キャッツアイのラストを彷彿させるようなラストだったな~と。
結構好きな本でした。アルツハイマーになるっいう事はもう言い方が悪いけれど、坂道を転げ落ちていくような気がしたのです。
でも、このラスト。好きでした。

igaiga #6.AaZ5Pk | URL | 2011/07/02 09:33 | edit

Re: igaiga

コメント、有難うございます!

> なんっていいますか、奥さんの覚悟が伝わってきました。
> キャッツアイのラストを彷彿させるようなラストだったな~と。

キャッツアイのラスト(漫画版かな?)って、実はある意味、私のベストの答えのひとつなんですよね。もう一度、恋が出来る!。ただ、前向き過ぎるのでアルツハイマーの物語のラストにはもう少し工夫が必要な気がします。だから、本作のような終わり方(一方に心残り、哀しみがある)のほうが相応しいんでしょうね。私も奥さんの決意、覚悟が出ていて好きです。

Medeski #- | URL | 2011/07/02 16:53 | edit
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