ナマクラ!Reviews

05/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./07

第16回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:蒼空時雨/綾崎隼

蒼空
1.ヤコブの梯子で雨宿り
2.雨、ときどき嘘
3.哀しい雨には濡れないで
4.日の照りながら雨の降る
5.君の隣なら雨宿り
6.君がくれたもの

answer.――― 74 点

紛うことなき大衆小説―――読了と言わず、おそらく数頁とめくって下される読者の本作に対する結論だろう。ライトノベルの最大手、電撃文庫。現在のライトノベルのファースト・インプレッションとも云える「萌え」を開拓、拡張し続けた功績を持つこの文庫は、「萌え」に代わる新たな路線として、大衆小説との融合、ボーダーレス化を選択したのは巷で知られるところ。その専門レーベルとして設けられたメディアワークス文庫(以下、MW文庫)は未だ試験的な位置から抜け出ていないと思うが、―――まあ、本来なら大衆小説の書き手になっただろう作家が現在、ライトノベルの読者なんだろうからね。必然的にMW文庫の書き手は集まるわけなんだから、あとは旗手待ちといったところなんでしょう。戻って、本作。レヴュー冒頭に書いたように、完全な「大衆小説」となっている。ライトノベル特有のキャラクター性、台詞回しは希薄で、オープニングこそ渋面を作りたくなるご都合が発動するものの、そこからは正統派な青春小説。読者というよりも、登場人物たちへ始終に張り巡らされた<嘘>が見所で各章、それぞれの登場人物からの視点で作られ、(やや力業に映るものの)一纏めな相関関係を成立させる。終盤のごった煮感は、メインヒロインの三角関係清算劇を見事にアシスト。……もう、誰でもええから選べや!と恋人選択への不快感を打ち消す、読者への適当なストレスの掛け方が技巧的だ。選考委員も指摘している通り、場面が浮かばない描写的な難こそあれ、一人称は非常に読みやすい。ただ、読了後、おそらくほとんどの読者が手放しで誉めたくないのは、本作に<ライトノベル>の強味が無いからだろう。本作が大衆小説として出版された場合、また評価が変わる気がする。ちなみに、私の場合、70点を点けると思う。<ライトノベル>という隠れ蓑で、本作は評価が上がっている。選考委員奨励賞に留まっている理由はその辺が関係しているのかな、と。その点で、この第16回でメディアワークス文庫賞を受賞している『〔映〕アムリタ』は紛うことなきライトノベル。MW文庫の進路をしっかりと示している。

第16回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:蒼空時雨/綾崎隼

category: あ行の作家

tag: 電撃小説大賞選考委員奨励賞 OPEN 70点 綾崎隼

[edit]

page top

« 第16回電撃小説大賞 銀賞:ご主人さん&メイドさま ―父さん母さん、ウチのメイドは頭が高いと怒ります/榎木津無代  |  第16回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:空の彼方/菱田愛日 »

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/414-49768c67
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top