ナマクラ!Reviews

03/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./05

第5回本屋大賞 9位:私の男/桜庭一樹

私の男
1.2008年6月 花と、ふるいカメラ
2.2005年11月 美郎と、古い死体
3.2000年7月 淳悟と、あたらしい死体
4.2000年1月 花と、あたらしいカメラ
5.1996年3月 小町と、凪
6.1993年7月 花と、嵐 

answer.――― 73 点

諸々のレヴューサイトにて、「……気持ち悪い」と、かの海を前にしたラストシーン、惣流・アスカ・ラングレーばりの感想が並ぶ第138回直木賞受賞作「私の男」。その構成は章タイトルからも察せられる通り、各登場人物の視点に切り替わりながら現在から過去へと遡っていくもの。さて、本作はストーリーそれ自体を楽しもうとするよりも、ある種の耐性テストを受けるつもりで臨んだほうが良いかもしれない。なるほど、確かに気持ち悪い―――読んでいる最中、気持ち悪さが過(よ)ぎる。個人差はもちろんあるだろうが、この<気持ち悪さ>は本能に訴えてくるものだ。ここを興味深く(自身で)捉えるのが本作の醍醐味なのだと思う。逆に云えば、自身の反応に対して興味を持たないとやや平坦な展開で、凡庸な作品として片付けられてしまう。そんなテストな面を除いて、一小説として個人的に一番楽しめたのは、完全にエトセトラAで数えていた女が<視点>を携えて再登場した第5章。サプライズ的で、―――ぃよっ、待ってました!と心が湧いた。そう、実は本作、主要登場人物の視点よりも脇役、それもエトセトラな登場人物の視点から描かれるべきだったと思う。そっちのほうが「男」をより興味深く読者に捉えさせられたはずだ。ちなみに、禁忌を扱っている本作だが、目を背けたくなるような過激な描写は少ない、あるいは、無いので逆にご注意を。

第5回本屋大賞 9位:私の男/桜庭一樹

category: さ行の作家

tag: OPEN 70点 桜庭一樹

[edit]

page top

« 第5回本屋大賞 8位:鹿男あをによし/万城目学  |  ガガガ文庫:とある飛空士への追憶/犬村小六 »

コメント

キモいんだけど好きなんですよね~。この話。
なんかだんだんと過去に戻っていくサマが悲しくて。
破滅してから破滅する過程へと移って行く心情といいますかなんといいますか・・・
キモいはキモいんですが(笑)
でも、悲しかったな~と思ったのです。はい(・ω・)

igaiga #jWiXvKEs | URL | 2011/09/12 10:28 | edit

Re: igaiga

コメント、有難うございます!

本作、女性ウケが良いんですかね?禁忌が受けるんでしょうか。そういう意味では、個人的には、男が子どもを作った事態と、自分の妻の不貞を受け入れて且つ、不貞の娘を育て上げているっぽい漢な親戚が気になりました。キモいとちゃんとキモがられたのはもちろん、何より面白かったですね。

Medeski #- | URL | 2011/09/12 16:52 | edit

これは、なんていうのか、キモくあるべくしてキモい、
というのか、生理的な不快感を抱かせてなんぼ、
といった小説のような気がします。

でも、個人的には「キモッ」と思いはしたものの(笑)、
あまり現実味がなくて、私の中では「ダーク・ファンタジー」的な
読み物、として退廃的な雰囲気を堪能した覚えがあります。

好き嫌いは確実に分かれる小説だとは思いますが、
ストーリー自体よりも、ゴシック作品を彷彿とさせる
作風が私は結構好きです。

ちゃき #mQop/nM. | URL | 2011/09/13 22:35 | edit

Re: ちゃき

コメント、有難うございます!

> あまり現実味がなくて、私の中では「ダーク・ファンタジー」的な
> 読み物、として退廃的な雰囲気を堪能した覚えがあります。
万人が気持ち悪い、と感じられるのは、何かの仕掛けのようで面白いですよね。ダークファンタジーって響きはピッタリかも。「男」がアンチヒーロー的ですからね。

桜庭さんは代表作のゴシックを読んでいないので、何かの機会に手に取りたいと思っています。雰囲気作りは上手そうですね。

Medeski #- | URL | 2011/09/14 06:06 | edit
page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/446-1b354b9b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top