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角川文庫:GOTH/乙一


「僕の章」
1.リストカット事件 Wristcut
2.土 Grave 
3.声 Voice
「夜の章」
1.暗黒系 Goth 
2.犬 Dog
3.記憶 Twins

answer.――― 75 点

この世には殺す人間と殺される人間がいる……そして、自分はその前者だと自覚する「僕」と、人の残酷な面を覗きたがる少女・森野夜。「私にも、その表情のつくりかたを教えてくれる?」―――『人間失格』な二人のボーイ・ミーツ・ガール。本作にて第3回本格ミステリ大賞を受賞し、乙一がライトノベルというジャンルの枠を越える知名度を持つようになった記念碑的一作。また、本作は単行本『GOTH リストカット事件』として発売された後、文庫版を出版するにあたって「僕」に焦点を当てた「僕の章」、森野夜に焦点を当てた「夜の章」に分けて出版された。これは営業的な側面が大きいのだろうが、作品の質を向上させる意味でも成功した稀有な例となった。というのも、本作、単行本と文庫本での読後感がまったく違うからだ。本作は形式としては連作短編となっているが、「僕」と「森野夜」、主人公とヒロインがメインで活躍するのは二編しかない。基本的に物語の視点を任されるのは<殺人鬼>で、彼らの淡々鬱々とした日常(犯行)をなぞるのが本作の醍醐味になっている。それで、ラストに乙一の十八番!ドンデン返し!!を迎えるわけだが、……あまりに《パターン》なのでオチをオチとして楽しめない。単行本での章の並びでは特にそれが顕著でまさに尻すぼみ、ともすると駄作にさえ思えてしまう。その点、文庫版は文体にブレが生じているものの、それぞれがひとつの作品として綺麗にまとまっているのが良い。二冊で一冊ではあるが、どちらか一方しか読む気が無いというなら、オススメは「夜の章」。第2章【犬 Dog】が邪魔だが、森野夜が現代っ子が望む正統派GOTH系ヒロインとして機能している。乙一には珍しいキャラクターの魅力で攻める小説。ライトノベルではなく、大衆小説として出版されているが、本作こそ乙一流の《ライトノベル》作品と云える。点数は文庫版(僕の章/夜の章)へ宛てたものです。

角川文庫:GOTH/乙一 (2002)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 三大犯罪者 乙一

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コメント

GOTH

こんばんは~。
単行本の方が良かった、という意見ばかり聞いていたので、
そうなのか~、と思いつつ、文庫版しか読んでいなかったのですが、
Medeskiさんの意見を聞いて、単行本読まなくていいや、
と思ってしまった(笑)。

乙一さんのあとがきもいつもおもしろいですよね。
GOTHに関しては、主人公の「僕」や殺人者達のことは
妖怪だと思ってください、というのに、なるほど~、と
やたらと納得してしまったのを覚えてます。

個人的には、このシリーズ、つまらない続編が
出てしまったのが残念だったな...。

ちゃき #mQop/nM. | URL | 2011/10/23 22:32 | edit

Re: ちゃき

コメント、有難うございます!

> 単行本の方が良かった、という意見ばかり聞いていたので、

ちゃきさんの御友人に無礼を働きますが、絶対にコレ、文庫版のほうが良いです。少なくとも、乙一=オチが1パターンという図式が成り立っている人にとっては、単行本はどんどんオチが読めて耐えられないくらい退屈だと思います。文庫版はその点、ある種の諦めが出来るので、特に夜の章は抜粋のようなものなので、犬が邪魔ですが、良い読みものだと思っています。あとがきは基本的に、各作家にはセンスで書いて欲しいので、その点、乙一はちゃんと配慮してくれているような気がします。

> 個人的には、このシリーズ、つまらない続編が
> 出てしまったのが残念だったな...。

分かります。思い出を汚されるのは勘弁ですよね。

Medeski #- | URL | 2011/10/24 14:20 | edit
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