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電撃文庫:猫の地球儀/秋山瑞人

猫の地球儀
1.焔の章
2.幽の章

answer.――― 76 点

国宝『鳥獣人物戯画』に代表されるように、登場人物の擬人化は古来よりそれだけで楽しませる術として知られる。一般文芸に引け目を感じるライトノベラーにとっての切り札、まさにJOKER的存在とも云える秋山瑞人。本作は彼の初のオリジナル作品であり、タイトルからも察せられる通り、猫の世界を舞台にした物語。猫、ライトノベラーにとってこの<記号>は三度の飯と並ぶ大好物。それは、ファンと自称する者が総じて「本作こそ秋山瑞人の本当の代表作……!」と鼻息荒くするところからも証明出来るだろう。そう、本作の(オ)カルト的支持の源泉は、登場人物が「猫」であることに他ならない。「犬」でも、「鳥」でもダメなのだ―――「猫」でなくては。しかし、仮に「猫」以外の地球儀であったとしても、本作は一作品として○をつけられる出来ではある。巷のSF作品と比しても遜色ない作り込んだ世界観、舞台設定はライトノベルとしては異例の、第32回星雲賞の最終候補作にノミネート(このあたりもまた、秋山瑞人が崇拝される理由のひとつだ)。そんな評価を受ける設定を無視しても、2巻の終盤、時間軸をズラして演出される悲劇の書き口は妙がある。特筆すべき点としては、人が猫に抱く<孤独>のイメージを完遂させたことを挙げておきたい。本作の主要登場人物たちは、すべて<独り>になる。本作のテーマらしい「夢の実現には時として犠牲が伴う(Wikipedia参照)」というさもありなんなものよりも、「猫の世界(地球儀)に群れは存在しないのです」と言いたいかのような著者の演出に個人的に何よりもセンスを感じました。全2巻、合わせてのレヴューです。

電撃文庫:猫の地球儀/秋山瑞人 (2000)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 秋山瑞人

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コメント

おはようございます

記事更新が2011/11/05 0:00
前回記事に宣言したとおり土曜日キッカリ!!
こだわりを感じますねぇ。(笑)

>一般文芸に引け目を感じるライトノベラーにとっての切り札
ですか

機会があれば是非手にしてみたいと思いますが
「一般文芸に引け目を感じるライトノベラー」
の感覚は確かにありますね。
個人的にはその原因は『表紙絵』にあると思っています。

今まで小説と縁が遠かった方達の興味を引く事には一役買っているものの
逆に小説に親しんできた方達が手にするには
(例えば私のように歳を重ねていたりとか……)
ひとつのハードルとなっているわけで。
内容的には文芸書としていい小説も結構あると思っています。

そもそも現在「一般文芸」というジャンルわけされている小説も
当時の方達にとっては、ある意味楽しめる娯楽小説だったわけで。

言葉は生き物ですから時代時代によって表現方法が異なりますし
固い高尚な文章だけが文学ではないだろうと。
行き過ぎて言葉の乱れにしかなっていない小説があることも否定しませんが

「ラノベも一般向け表紙で同時発売してくれないものか」
と常々思っています。(^O^)g

一刻 #- | URL | 2011/11/05 08:48 | edit

Re: 一刻

コメント、いつもありゅあーとうございます!

> 「一般文芸に引け目を感じるライトノベラー」
> の感覚は確かにありますね。
> 個人的にはその原因は『表紙絵』にあると思っています。

実際、これはあるでしょうね。購買層はおそらく当初は現在よりも幅広いものを想定していたと思いますが、だんだん的を絞ってきたと思いますね。ただ、アニメ好きを公言してもキモがられなくなってきたように、ライトノベルも嫌な意味で認知されつつあるように思います。

> そもそも現在「一般文芸」というジャンルわけされている小説も
> 当時の方達にとっては、ある意味楽しめる娯楽小説だったわけで。

その通りですね、ライトノベルも所詮ですが、一般文芸も所詮で片付けられると思います。ストーリーを重視している傾向が近代に掛けてあるような気がします。もちろん、ストーリーは第一だとはお思いますが、それを彩る文章も同時に研磨すべきだとも私は思っています。皆、最近、サボり過ぎ。

Medeski #- | URL | 2011/11/05 20:56 | edit
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