ナマクラ!Reviews

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第3回本屋大賞 3位:死神の精度/伊坂幸太郎

死神の精度
1.死神の精度
2.死神と藤田
3.吹雪に死神
4.恋愛で死神
5.旅路を死神
6.死神対老女

answer.――― 72 点

雑誌「オール讀物」他で掲載した短編をひとつにまとめた作品。表題作は第57回日本推理作家協会賞短編部門受賞。さて、このナマクラ!Reviewsにおいて、優等生と云えば、伊坂幸太郎その人であることは御存知の通り。丁寧な文章、誰にも優しいユニセックスなストーリー、安定した刊行ペース―――まさしく<プロ>の所業、彼が職業欄に堂々と<作家>と書くことに異論を挟む人はまずいないだろう。大衆小説とは、一般大衆を対象にして書かれた通俗的、娯楽的小説……というならば、彼の作品はまさしくどれもが<大衆小説>の名に相応しい。しかし故にというか、私にはいつも物足りなさがつきまとう。その印象は、本作でも変わらず。作品の形としては、クールで少しずれている死神の一人を主人公にした連作短篇。主人公の仕事は対象を7日間調査し、その死の<可否>を報告するというもの。基本的に死神たちは「可」を出すというように、本作でもよく「可」が出される。大概、この手の設定は死ぬことを願いたくなるような嫌なキャラクターを登場させて死神による「可」判定でその留飲を下げるものだが、そこは伊坂幸太郎らしく大前提「可」を逆手に、90°ほど傾けるストーリーアレンジを披露。そう、登場人物はほぼ全員「善性」を有している。そして、作中のルールを器用に用い、悪を挫くのである。そんな90°アレンジもあり、暇潰しにはまさに適当なクオリティ。短編ということもあり、気軽に読める。ただ、―――感銘を受けることはいつも通り、無い。ただ(これまたいつも通りなのだが)、唯一、終章にて一作品としてのサプライズが起こる。終章だけ他章の話が唐突に紛れるのだ。どこか似通うストーリー展開が続いたなかでのサプライズ。悪い点数を取ったな、と思わせて、皆が解けない問題に唯一答えられたようなサプライズ、……優等生である。伊坂幸太郎の作品は、暇潰しの精度としては抜群だ。

第3回本屋大賞 3位:死神の精度/伊坂幸太郎

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 伊坂幸太郎

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コメント

面白そうですね!

みみ~ #SFo5/nok | URL | 2011/11/28 08:56 | edit

Re: みみ~

こらこら!

> 面白そうですね!

ホンマかいな!

Medeski #- | URL | 2011/11/28 13:33 | edit

こんばんは、人生楽しみです。

伊坂幸太郎さん、売れています!
短編は1作しか読んでいませんが、長編は名前につられて何冊か読みました。その面白さは、文章力と不可思議なプロットにありますが、読み終わった後に心に残るものが小さい、または少ないというとファンに怒られそうですね。そんな印象が強い方です。
今回の短編はどうでしょう。読んでみますか。

また、本屋大賞を期待していますので、宜しくお願いします。

人生楽しみ #- | URL | 2011/11/28 21:09 | edit

Re: 人生楽しみ

コメント、有難うございます!

>読み終わった後に心に残るものが小さい、または少ないというとファンに怒られそうですね。
いやいやいや、ここは逆に声を大にして言ってやりましょう。伊坂、そろそろ文学のレベルまで踏み込んでこい!安易な方法論的エンタメで満足するな!と。ゴールデンスランバー(12月中旬にレヴュー予定)も読んだのですが、これがまた、酷い。私の腹は煮えたぎって、鼻息さえ荒くなる始末です。

> また、本屋大賞を期待していますので、宜しくお願いします。
たまたまなのですが、今週の土日のレヴューは本屋大賞です。もっとも、さして点数の高い作品ではありませんが、宜しければご訪問くださいませ。

Medeski #- | URL | 2011/11/29 12:33 | edit
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