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第2回本屋大賞 8位:黄金旅風/飯嶋和一

黄金旅風
(あらすじ)
いつの世も希望は人に宿る―――江戸寛永年間、海外貿易都市・長崎に2人の大馬鹿者が生まれた。その「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称された2人の問題児こそ、後に史上最強の朱印船貿易家と呼ばれることになる末次平左衛門(二代目末次平蔵)とその親友、内町火消組惣頭・平尾才介である。卓越した外交政治感覚と骨太の正義感で内外の脅威から長崎を守護し、人々に希望を与え続けた傑物たちの、熱き奔流のような生涯!

answer.――― 70 点

ようやく読破した本作を振り返って、改めて思うことは「司馬遼太郎はスゲエなぁ……」と。長崎の異端児、末次平左衛門と平尾才介、そして、江戸時代黎明期の混乱を描いたストーリー。歴史を題材にした作品は、登場人物の魅力を前面に押し出す作風が主流だと思うが、綿密な取材により成立させる<時代考証>それ自体をセールスポイントに置く作風もある。本作がまさにそれで、台詞も少なく、頁の多くを占める地の文はさながら資料を読むかの如き錯覚を覚える。これを面白い!と云えるのは一種の素養を持つ人たちで、彼らは作品を手に取るときに知識欲を刺激されることをひとつの目的に数えていると思う。本作で云えば事件の鍵のひとつ、銀鋳造において銀の含蓄量が「多過ぎる」ことが問題になるのは、悪弊=銀の含蓄量が少ない、という先入観ある現代では、まさに新鮮。脳内を活性化させてくれた。だが、である。しかし、である。本作を大衆皆「是」とするべし!というのは違うだろう。司馬遼太郎が司馬山脈という一大山脈を築いたのは作品数はもちろん、何より「読みやすい」からである。本作は、著者のスタイルと云えども、その辺は完璧に無視されている。読めるヤツが読めばいい、―――というのに巻き込まれると、読者は散財をすることになる。本作は歴史資料を読み物にした作品だと思って欲しい。その意識を持てば、得るモノは大きい(頁数的にも)重厚な一冊。個人的に要改善として挙げたいのは、主人公を主人公と認識するのに時間が掛かること。平尾才介は大物の雰囲気を出しておいて、早々に退場したのも構成上、難癖をつけたくなる。

第2回本屋大賞 8位:黄金旅風/飯嶋和一

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 飯嶋和一

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