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第4回えんため大賞 優秀賞:リアルライフ この時代に生きることを/坂本和也

リアルライフ
(あらすじ)
県立花野高校演劇部に所属する骨竜七郎は同じ演劇部の響奈々子の容赦ないつっこみを受けつつも、飄々と毎日を過ごしていた。そんな日常の中、響は人気のない駐車場で、手から火の玉をだす男と骨竜が闘っている所を目撃する。問いつめる響に骨竜が語る「試合」の真実とは……。

answer.――― 56 点

『ファイアスノーの風』という漫画を御存知だろうか?20年近く前、週刊少年ジャンプで連載され、およそ三ヶ月で打ち切られたファンタジー作品である。連載された全11回は単行本に半ば無理やり一冊にまとめられ、他のジャンプコミックには見られない厚みがもの哀しくもある。打ち切られるくらいだから、大多数の人にとって大変<つまらない>作品だ―――がしかし、連載当時、小学生の私にとってこの漫画は非常に<面白い>ものとして映った。その理由を挙げようと思えば挙げられるのだが、挙げたからと云って、つまらないと切り捨てられる大多数の意見を変えることは出来ないだろう。大事なのは、人には誰しもそういう作品がある、ということだ。第4回えんため大賞にて<優秀賞>を受賞した本作は、私の学生時代の先輩にとってのそんなマスターピース。何度となく、それも十を超えて読み返したとのことだが、―――この事実、もはや<文学>である。是非、皆さんにも一読して頂きたい。他人の深淵が見られる。ここに描かれているものは何なのか?ストーリーそれ自体はオーソドックスなもので、現代を舞台にごく平凡な高校生である主人公が携帯に届くメールに従い、トーナメント形式のストリートファイトを繰り返す、というもの。背伸びしない文章、崩れないキャラクターなど、作家のそつのない地力は伺える作品だが、掴んで離さない魅力の有無というとどうだろう。有る、と断言するのは難しいだろう。にもかかわらず、何故に先輩は惹きつけられるのか?結論を云えば、おそらく、この作品に「先輩」がいるのである。先輩自身さえ知らない、己の本質が描かれているのである。内容も多少は関係しているかもしれないが、個人的には作品総てを通してだろう。繰り返してしまうが、これは先輩なのだ。そして、先輩にとって最も美しい価値観が本作に託されているのだ。自分探しをするなら、まず理解出来ない(自分ではない)他人の存在を知らなければならない。そういう意味で、本作は是非とも一度手に取って頂きたい。共感するためではない、共感出来ないことを知るためだ。自分以外の存在があることを知り、その存在を認め、知ろうとする。それこそが「理解」なのである。本作、推薦させて頂きます。本作を何度も読む人がいる、繰り返しますが、この事実は文学に値します。

第4回えんため大賞 優秀賞:リアルライフ この時代に生きることを/坂本和也  【推薦】

category: さ行の作家

tag: えんため大賞優秀賞 OPEN 50点 坂本和也 推薦

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