ナマクラ!Reviews

04/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31./06

このライトノベルがすごい!(2011年版) 10位:神様のメモ帳/杉井光

神様のメモ帳
(あらすじ)
「ただの探偵じゃない。ニート探偵だ」 路地裏に吹き溜まるニートたちを統べる“ニート探偵”アリスはそう言った。高校一年の冬に僕と同級生の彩夏を巻き込んだ怪事件、都市を蝕むドラッグ“エンジェル・フィックス”―――すべての謎は、部屋にひきこもる少女探偵アリスの手によって解体されていく。僕の答えに、普段は不真面目なニートたちが事件解決へと動き出す!

answer.――― 66 点

昨今のライトノベルが掲げるマ-ケット的テーマに「大衆小説への接近」があると思うが、その接近方法をかなりアバウトに大別すると、私のなかでは「桜庭一樹」型、そして、「有川浩」型に別けられる。前者は「もはや」大衆小説であり、後者は「所詮」ライトノベルである。本作は残念ながら後者の型、所詮、と巷の高評価に期待し過ぎたのか、肩透かしを食らった一作。所詮、と批判的な響きを採用しているが、私の趣向と合致しないだけで、それが悪いという訳ではない。二つの型の差を分ける要因は、読者の想定にある。「桜庭一樹」型は筆力に物を言わせる型であり、ライトノベラーに大衆小説を読ませるのではなく、大衆小説の読者に大衆小説を読ませる、という至極真っ当な書き口を展開する。対して、本作が採った「有川浩」型は、ライトノベルの読者に大衆小説を読ませる―――キャラクターはそのままにストーリーを「大人」っぽくした話を綴る。「大人」っぽくする方法には専ら<死>、<病>、あるいは<記憶喪失>など主人公が身近なモノを喪失することを主題とする。本作では、高校に馴染めない主人公をこれまた社会に染まり切れない面々が集う『ラーメンはなまる』へと案内したヒロインが禁止薬物によって自殺未遂&植物人間になる悲劇と遭遇、その発端を探るべく主人公はニート探偵アリスへ協力云々。主題がラノベ読みたちには重いため、何かバッドエンドな感じで良い話ーサーに映るが、禁止薬物扱う事件の割に登場人物の行動、物語の展開が軽弾みで、この辺を「所詮」と見下げたくなる。ただ、読みやすいのは事実で、ライトノベル特有のキャラクター先行が活きているのも頷ける。要は、合うか合わないかに尽きる。私は×でした。

このライトノベルがすごい!(2011年版) 10位:神様のメモ帳/杉井光

category: さ行の作家

tag: このライトノベルがすごい! OPEN 60点 杉井光

[edit]

page top

« このライトノベルがすごい!(2011年版) 9位:デュラララ!!/成田良悟  |  第17回電撃小説大賞 大賞:シロクロネクロ/多宇部貞人 »

コメント

注が添えられてあるものの、やはりライトノベルを大衆小説の引き合いに出して「所詮」と言われ、マーケットの違いではなく優劣まで付けられてしまうと「おいっ(ガタッ」となってしまうのは性なのでしょうか。斯く言う僕も「杉井光」「有川浩」共に入れ込むほど好きでもないのでどうなのかと言ったところですが。気を害したというよりかは、この奥歯に折れた爪楊枝の先が挟まった感じ。自分でも謎です。


大衆小説から端を発した「ライトノベル」が巡り巡って大衆小説に回帰、或いは歩み寄ろうとしている動きを2つの型で表された(極端ではあるものの)ことに、いつもながら舌を巻いたり。
大衆小説、ライトノベル。どちらもバランスよく読まれているMedeskiさんらしいカテゴライズでしたが、詰まる所、個々人の作品評価はその人の嗜好と読書来歴に左右されてしまうものなのですかね。


バイアスからは逃れ得ない、というのが端書でもレビューを書く身になって感じる疑問です。喉元で行き場を失った疑問を、「所詮」の件にかこつけてぶちまけてしまったことを謝らせてくださいッ!



ask #- | URL | 2012/01/08 00:52 | edit

Re: ask

コメント、ルッルルー!

> 注が添えられてあるものの、やはりライトノベルを大衆小説の引き合いに出して「所詮」と言われ、

正直にぶっちゃけますが、私はライトノベルは基本的に害悪だと考えています。というのも、askさん(いわゆる、偏差値が高めの人)のような人に上記の反応をさせてしまうからです。漫画やライトノベルは素晴らしい!と言いますが、それは「子どもでも読めるから」素晴らしい!のです(←この事実をクローズアップするべきであって、中身の弁護は不要だと思う。中身はaskさんの指摘通り、その人の嗜好と読書来歴に左右されてしまうため)。そして、「一番」忘れてはいけないのは、私を含め、人間には幼少期から、あるいは人間形成において一番大事な思春期に親しんだ物を否定されることに対する無意識化の強烈な保護欲。これが無自覚の場合が多い。マジで多い。askさんも私はそうだと思ってますよ、……―――このレヴューを見ている××××!テメエは特にだ!

―――おっと!askさんというより、流れに便乗して完全な私信が入り交じってしまいました。申し訳ない。

> バイアスからは逃れ得ない、というのが端書でもレビューを書く身になって感じる疑問です。喉元で行き場を失った疑問を、「所詮」の件にかこつけてぶちまけてしまったことを謝らせてくださいッ!

上記の私のコメントで誤解して欲しくないのは、別に大衆小説が素晴らしいなんてこれっぽっちも思っていないということです。もちろん、文学もです。いや、文学は素晴らしい(人間描くものだからね。ライトノベルの登場人物はまず人間じゃないから個人的に<良い>止まりという認識)と思ってるんですけど、タイムレスで素晴らしいか疑問の作品も多く「名作」として残っているので。現代の文学的書き手は下手しなくても私より馬鹿で、才能ないので壊滅状態です。それもこれも、ライトノベルで現代っ子は育ちゃって、ある意味その守り手として文学的才ある一部の子がラノベ作家になり、大衆小説/文学を蹴散らす―――なげえわ。スマンスマン!

Medeski #- | URL | 2012/01/08 04:07 | edit

ルッルルー!

おおお…完全に図星を突かれているような気がします。
僕は今も(そしてこれからも)ライトノベル擁護・推進の立場に立つことはないつもりでしたが(批判にも回らない)、Medeskiさんの言を借りるのならば『一番大事な思春期に親しんだ物を否定されることに対する無意識化の強烈な保護欲』に突き動かされてしまったみたいですね。

大雑把なたとえではありますが、ライトノベルという思春期を対象としたカテゴリが生まれたと同時に、その年代にある種の偏りが生まれてしまったことが問題(害悪とも)なのかなとも思います。「大衆小説」と合わせてカテゴリが2つあれば、どちらかに傾くのは天秤と同じく確実ですからね。ノイズと言っても過言ではないのかも。


それを踏まえた上で僕に出来ることと言えば、無理だと分かっている天秤の傾きを正そうとする努力、或いは傾きを認識することですかね。自分は大衆小説を全体の4割程度で齧りますが、どうやらライトノベルの方で「無意識化の保護慾」に駆り立てられていたようですし、(それが仕方ないと言われても)もう少し色々取り入れる努力が必要なのかもしれません。


こんな些末な思考にお付き合いいただき、更には的確な指摘まで戴けたこと、感謝しています。
僕のことを散々持ち上げてくだすったMedeskiさんとは、ぜひ酒の席で話を交わしたいものです。3年待て!!

ask #- | URL | 2012/01/08 10:20 | edit

Re: ask

> ルッルルー!

ノリが良過ぎてワラッタw

> 僕は今も(そしてこれからも)ライトノベル擁護・推進の立場に立つことはないつもりでしたが(批判にも回らない)、Medeskiさんの言を借りるのならば『一番大事な思春期に親しんだ物を否定されることに対する無意識化の強烈な保護欲』に突き動かされてしまったみたいですね。

性質が悪いのは、発言力のある人間がそこに気づいていないことなのよね。本関連(主に漫画擁護者)、音楽関連(主にロック擁護者)は(脳ミソが)厳しい人が多いね。東大や京大出て、漫画サイコー!ロックサイコー!とか本気で言ってるの、嘆かわしいったらありゃしねえわ。そこまでの頭があるなら消費者になるなよ、と。ズレちゃったけど、askさんも保護欲駆り立てる奴いたら年上でも窘めておいて。年下に諭されたら黙るだろうから。

> 大雑把なたとえではありますが、ライトノベルという思春期を対象としたカテゴリが生まれたと同時に、その年代にある種の偏りが生まれてしまったことが問題(害悪とも)なのかなとも思います。「大衆小説」と合わせてカテゴリが2つあれば、どちらかに傾くのは天秤と同じく確実ですからね。ノイズと言っても過言ではないのかも。

この辺は、世代(時間)が解決するんじゃないかな。むしろ、ライトノベルサイコー!になり過ぎて、日本を憂う状況になる気がしてならない。ライトノベルってゴミだけど俺は大好きだ!って認識が正しいと個人的には思うんだけどね。現に、音楽ならアニソンきもっ!って認識、既に薄れ切ってるこの恐さ。askさんも今何がマイノリティで、何がマジョリティなのか覚えておくと面白いよ。ちょうど過渡期だと思うから「今」。マイノリティがマジョリティになりきったとき、そこにあるのはダダイズム。公衆便所の便器が美術館に飾られ、それに金を払う状況を楽しむ行為と変わらない。

> 僕のことを散々持ち上げてくだすったMedeskiさんとは、ぜひ酒の席で話を交わしたいものです。3年待て!

君には期待している。揺れない価値観を手に入れるんだ。大事なのは、腐るほどいる頭の良い人のなかで、本当に頭の良い人を見つけて付き合うことさ。前に薦めたけど、『聖女・悪女伝説 神話/聖書編 ムーサの 贈り物Ⅲ』をいつか読んでみて。俺は大学卒業してからこの本で本当のインテリは、そもそもの「知識」を持っていないと、相手がどんなに頭が良かろうが心のうちで馬鹿にするって現実を教えられた。君の周りの子もきっと頭が良いだろう。でも、半分以上は本当になれないまま終わるだろう。俺の周りもそうだった。もちろん、俺を含めて。

Medeski #- | URL | 2012/01/08 16:58 | edit

10位で66点かあ・・・やっぱ上位を読んだほうがいいのかな

停車男 #- | URL | 2012/01/10 06:24 | edit

Re: 停車男

コメント、有難うございます!

> 10位で66点かあ・・・やっぱ上位を読んだほうがいいのかな

このラノのことですかね?それとも、私の点数の上位って意味ででしょうか?このラノは投票制だけあってそこそこ粒揃いがランクインしているのも事実ですが、基本、アニメ化した作品の影響がモロに出るので、オリコンチャートみたいなもんだと思ってます。私の点数は、相対評価なので5点前後動きます。実際、点数を変えた作品もあります。私が人にプレゼントとしてお薦め出来るレベルの小説は、レヴューで取り扱ったなかでは『家守綺譚』(86点)だけですのでご了承をば。

Medeski #- | URL | 2012/01/10 09:55 | edit

ツリー化の件、アドバイスありがとうございます。

ググってみて以下のブログを見つけました
http://www.koikikukan.com/archives/2011/04/08-005555.php

多分、これ分かりやすいと思われるのですが、自分は挫折してしまいました。3番のHTMLからの所です。

ですが、頑張ってなんとかやってみます。ありがとうございます。

神様のメモ帳は原作は見てないですがアニメでは見ました。アリスでしたかっけヒロインは。

声優の小倉唯が良かったそんな印象のみでした。

こげぱん #- | URL | 2012/01/10 17:36 | edit

Re:こげぱん

ポウ、ラッキーナンバー!(コメント、有難うございます!

> 多分、これ分かりやすいと思われるのですが、自分は挫折してしまいました。3番のHTMLからの所です>

難しく考えず、<貼り>替えるんだ!俺もそうだった。よくよく考えれば、え?これだけ?ってなる!ガンガレ!

> 声優の小倉唯が良かったそんな印象のみでした。

アニメとは中身が違うらしいね。俺もこの出来そこないの大衆小説は面白いよりも苛ついた印象がある。ラノベ作家なら真っすぐ投げてこい!

Medeski #- | URL | 2012/01/11 06:53 | edit
page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/497-4720082e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top