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第3回本屋大賞 7位:告白/町田康

告白
翻訳家・岸本佐知子「不器用で空気が読めない熊太郎は世間の暗黙のルールに乗れず、最後に大犯罪者になってしまう。個人的に身につまされた」

詩人・小池昌代「大悪人の澄み渡った魂を言語論をからめてつづった傑作」

翻訳家・鴻巣友季子「日本語なのに異言語。言葉が元々『異物』であることを激烈な恥辱の感覚を通して描く傑作!」

仏文学者・中条省平「近代的自我の成立を言語の問題としてとらえた日本文学史上画期的な小説」

エッセイスト・平松洋子氏「あらためて日本語の価値自体をも突きつけてくる圧倒的な作品」

answer.――― 72 点

本作の著者・町田康率いるパンク・ロックバンドINU―――その1stアルバム『メシ喰うな!』は、Rolling Stone【日本版】の特集企画"100 Greatest Japanese Rock Albums of All Time"にも選ばれる名盤であり、町田康という狂犬(@布袋寅泰にボコられた負け犬)を端的に紹介するのにピッタリの一枚だ。なんて、素直に誉めるのが気恥ずかしいのでその辺のINU扱いしてしまったが、町田康はお世辞抜きで<天才>である。業界の慣例通りノミネートされ続けついに第123回芥川龍之介賞を受賞しているが、こと町田康に関しては賞設立当初の「純文学の新人に与えられる」という理念通り、処女作から受賞させても良かったと思う。上方落語で培った(らしい)独特の文体は唯一無二と言っていいと思うし、事実として彼の後を追い、追いついたフォロワーらしいフォロワーも未だ現れていない。このような状況からも判断出来る通り、町田康は間違いなく<天才>なのだ―――文章は。そう、彼の話作りの才能は、ポチやタロー、その辺の電柱に小便を垂れる犬コロと変わらない。凡中の凡、ボボンチュウ(凡庸)である。さて、そんな町田‘ボボンチュウ’康が河内音頭のスタンダード「河内十人斬り」を題材にしたのが本作。話作りの下手さは、―――実話でカバー!とばかりの意欲作だ。何故、10人も殺すことになったのか?それを己の天才的にリズミカルな文体を生かして描く―――ために、殺人犯となる主人公をド田舎に生まれた無教養の思弁的な人間としたのが本作最大のファンインプレー。これでだらだらとリズミカルに思考出来る。あとは、読み手は天才の所業を楽しむだけである……、以上。無理矢理付け加えるなら、本作は実話だけあってそこそこ物語性もある。だから、「詰まる/詰まらない」で判別するなら「詰まる」方だと思うが、天才だからって万能じゃねえし、コイツの天才っぷりは何作品にも渡って読むものでは無いよ、とはこの作家の作品を読んでいつも思うことだ。文才とは何か?に対してなら、しっかりと応えてくれる作家。でも、それ以上の作家ではない。

第3回本屋大賞 7位:告白/町田康

category: ま行の作家

tag: OPEN 70点 町田康 本屋大賞

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コメント

町田康作品は今のところこれしか読んだことがないので、
エラそうに語れないんですが、確かに、題材のわりに
テンポが良いせいか、好くも悪くも読みやすかった印象はあります。

実際の事件の性質から、横溝正史ばり、とまでは
いかないにしても(笑)、農村特有の閉塞的な村社会が
背景にある上で起こった事件だと想像しているので、
随分現代的解釈がされていたのが個人的には意外でした。

そこが評価されている作品なんだろうけれど、
説得力、という意味では(そしてあの分厚さにしては...)
若干弱いかな、という気がしました。

ちゃき #mQop/nM. | URL | 2012/01/22 16:42 | edit

Re: ちゃき

コメント、有難うございます!

> 町田康作品は今のところこれしか読んだことがないので、

いやいや、私も4作(だったかな?)しか読んだことありませんよ。その中でも本作は物語があって良かったって話なんですが。色々な評論家が彼を絶賛するのですが、どうも個人的にピントが合ってるように思えないので、こんなレヴューになりました。自我の獲得、そこへ至るために告白(言葉)、教養の必要性が説かれている!とか「知識人~!」と感心出来るのですが、そういうことを誉める人がノリで「その他」の部分まで誉めてる気がしてならないのです。例えば、本作。実は私の読んだ彼の作品としては一番中途半端なリズムでした。というのも、おそらく作成途中で手が止まって、「時間を置いた」んじゃないですかね?ある行からいきなり作品世界が「近世」から「現代」になってます。それまで登場人物の生きる時代を守っていたと思うのですが、いきなりノリの良いベランメエ調(要するに、彼の天才的文体)で誤魔化しています。音楽で喩えるならクラシックの録音演奏中に、思いつきでジャズ演奏をするようなものです。

……まあまあまあ、高尚な物だと思わなければ全然構わないのですが、知識人が高尚な物として祭り上げて町田康もソレに乗っかてるのが気に入らないってね。INUやってろよ、町田康。

> 随分現代的解釈がされていたのが個人的には意外でした。そこが評価されている作品なんだろうけれど、
説得力、という意味では(そしてあの分厚さにしては...) 若干弱いかな、という気がしました。

チャキサン、モット\(≧∇≦)/イッテヤレー! 物語り的面白さは70~80点って感じです。この作品には、物語りを綴る上での、彼の真摯な文章が欲しかったですね、わたしゃ。

Medeski #- | URL | 2012/01/22 18:39 | edit
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