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第0回メフィスト賞 受賞作:姑獲鳥の夏/京極夏彦

姑獲鳥の夏(仮)
本書を手にされた方々に、薔薇と十字の祝福があらんことを―――

answer.――― 73 点

ライトノベル界に御三家あり―――魑魅魍魎、蛇尾駄作。表に裏に陰謀の渦巻くライトノベル界で、天上人となって甘い蜜壺を抱え、時勢が己に傾くとぬらぬらすする三者がいる。一人は性本能の赴くままに筆を爆裂、そして、ラムネで酔わせ、喜び組たるマリオネットを派遣し、己自身もライトノベラーであった現中堅ライトノベル作家たちに萌えの芽を植えつけた‘外道’あかほりさとる。一人は某巨大掲示板で現在に至るまでキング・クリムゾンの1stアルバムと並びプロレス的に<神>と囃し立てられる‘琵琶法師’田中芳樹。そして、ミステリー界の「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」を地で行く京極‘堂’夏彦……今回紹介させて頂くのは現在、御三家中もっとも勢いのある宮家・京極‘堂’夏彦の代表的シリーズ「百鬼夜行シリーズ」、記念すべき第一作『姑獲鳥の夏』である。第0回メフィスト賞受賞作とも称される本作は、まさに問題作と云える奇天烈ミステリー。その概要は、東京のある医院でくすぶる奇怪な噂を文士が聞きつける。その噂とは、娘は20箇月も身籠ったまま、そして、その夫は密室から失踪したというもの。シリーズの主役、京極堂が長く語る序盤の<認識論>が物語の鍵を握る怪事件。……とりあえず、解き明かされる謎がもはや謎なのが本作最大のジェイソン・サプライズ。作品の解説にさえ引用される本シリーズの象徴的名言「この世に不思議なことなど何もないのだよ」は、御三家のしきたりの前では己の生き方こそが無作法と知ったのが懐かしい。そもそも、ミステリーと思って読んだのが間違いで、その前提を解けばなるほど、怪作として楽しめる。シリーズを追えば、その辺の人を撲殺出来るボリュームとなっていく外装も面白い。かの三大犯罪者・奈須きのこもこの御三家の門、京極堂の暖簾をくぐったのは知られるところ。ヴィジュアルノベル『月姫』(18禁)においては、大胆なサンプリングで著者へのリスペクトを披露している。デタラメな作風は今なお多くの作家に影響を与え続けている。巷では圧倒的文章力!と騒がれているが、本作における筆力は特段、取り上げるほどではない。敢えて誉めるなら京極堂へ至るまでの坂道の描写くらいだろう。おそらく京極堂の高説を巧いと言っているのだと考えられるが、……京極夏彦の文章をあくまで称えたいなら『巷説百物語』を推薦する。ここでの彼の文章こそスタンダード、上出来だ。(←読み返したら癖があるだけでそうでもなかった)。横道に逸れたが、本作は完全な色物。漫画を消化した小説、それこそ新伝綺だ。怪死体、リアル怪事件(未解決済み)に興味のある方はどうぞ。ところで友人の推測だが、作中、無頭児について言及する場面がある。手塚治だなこりゃ、と本作のネタ元を見抜いた慧眼に私は感服した。

【画像は著者近影(This Is The Psychedelic Violence Crime Of Visual Shock!)】

第0回メフィスト賞 受賞作:姑獲鳥の夏/京極夏彦

category: メフィスト賞

tag: OPEN 70点 京極夏彦 御三家

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コメント

まずこのレビュー見て驚いたのはあれだね、画像だね。
妖怪ドーンと来てると思ったらいい年こいたおっさんが革手袋してドーンしてたんだからビビったわ。

>>おそらく京極堂の高説を巧いと言っているのだと考えられるが、……どんな大学の文学部でも良いので、そこの学生の表彰された論文を読んでみると良い。よほど「巧い」し、為になる。
いやいや、あれ上手さとか為になるかは置いておいて相当分かりやすいと思うぜ。
論文とかってのはどんなのにせよそれを読むにあたっての知識が必要になってくるけど、この小説の<認識論>は当時中一で分厚い本ドヤ顔で読んでた俺でも理解できたんだぜ。
これだけ分かりやすいってのは巧いとかよりよっぽど凄いぜ。

>>かの三大犯罪者・奈須きのこもこの御三家の門、京極堂の暖簾をくぐったのは知られるところ。
いや、京極以降のミステリィ作家でこいつの影響受けてない作家居るのかって言うぐらい凄い衝撃だと思うけどな。
リアルタイムでなくとも、以前と以後のミステリィ読めば隔たりがあるのが判る。
読者に対するミステリィ的な。
実際、俺もこの作品読んだ後と前じゃ視界の広さが全然違ったし。

Axshynu #74WU3Slc | URL | 2012/02/12 23:11 | edit

Re: Axshynu

> まずこのレビュー見て驚いたのはあれだね、画像だね。
> 妖怪ドーンと来てると思ったらいい年こいたおっさんが革手袋してドーンしてたんだからビビったわ。

まあ、これが本当のPsychedelic Violence Crime Of Visual Shockという訳だ。ぶっちゃけ、レヴューは御三家の件しか俺も書いていて興味が無かった。

>これだけ分かりやすいってのは巧いとかよりよっぽど凄いぜ。
半分賛成で、半分反対だ。途中までは良かった。そして、途中から酷かった。自分で言うのもなんだが、俺は圧倒的且つ、排他的な文才があるからな。文章マニアと言っていい。ちょっとしたキ〇ガイだ。俺の言っていることが理解出来ない奴は数知れずだ。だから理解出来なくてもまったく構わない。君は多少俺を評価してくれてるみたいだから、こんなコメントをしている訳だが、―――そうだな、たとえば「花鳥風月」は間違いなく「詩」なのだが、まず皆、「詩」だとは思うまい。これが共感出来ない時点で、俺はソイツを低俗と見做すし、話す気にもならない。故に、俺の周りで文章に言及してくるのはまずいない。ウザいからだ。今回は「理解」云々を基準にしているからな、 Axshynuは。俺の思う「文章」はもっと複合的だ。台詞が長い、それだけで「工夫をしていない」と俺は見做す場合もある。また、分かることだけが是ではない。特にこの作品は言っていることが途中から明らかにヒッピー(War is over!)で、読者を舐めている節がある。……まあ、パパンガパーンしているが、そもそも俺と同じ視点で「文章」を語れるヤツはそんないない。井上ひさしの「自家製文章読本」を読んだときは、俺もまだまだまだまだだなと謙虚にもなったが、ある観点ではウザウザと。

ウザウザ書いたが、結論的には京極は、本当にそこそこ巧い。が、この作品はそれに該当しない。語りを巧い、と称えたいなら、こういうメジャー作品ではなく、クソみたいなアマチュア作品の語りさえも評価出来てからだ。少なくとも、俺はそんなクズを見たことが無い。俺以外で。

> リアルタイムでなくとも、以前と以後のミステリィ読めば隔たりがあるのが判る。
> 読者に対するミステリィ的な。
> 実際、俺もこの作品読んだ後と前じゃ視界の広さが全然違ったし。

これ、本当なんだろうな。この辺は俺のミステリィの読書量の無さゆえに―――まんま信じるぞ、信じちゃうからな!と。

Medeski #- | URL | 2012/02/13 00:09 | edit

Cut!

何か無くても良さげだったので、以下の『』文章をカットしておく!

おそらく京極堂の高説を巧いと言っているのだと考えられるが、『……どんな大学の文学部でも良いので、そこの学生の表彰された論文を読んでみると良い。よほど「巧い」し、為になる。』京極夏彦の文章をあくまで称えたいなら『巷説百物語』を推薦する。ここでの彼の文章こそスタンダード、上出来だ。

Medeski #- | URL | 2012/02/17 10:36 | edit
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