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第2回日本ファンタジーノベル小説 優秀賞:英雄ラファシ伝/岡崎弘明

英雄ラファシ伝
1.プロローグ ~神話~
2.第一部 赤道浪曼(ララ族の四季)
3.第二部 百花繚乱
4.エピローグ

answer.――― 66 点

本作を読んでいるとき、何とも奇妙なノスタルジーに囚われた。靄がかったソレが晴れてきたのは、(……何か、色々起こり過ぎじゃね?)と第一部も終わりに差し掛かった辺りだった。そう、一行一行の単文で驚くほど何かが起こっているのだ、この作品。第1回の『宇宙のみなもとの滝』の記事でも言及したように、ファンタジーと云うと、少なくとも日本では宮沢賢治によってイメージづけられた。すなわち詩的なもの、「言葉で魅せる」物語だ。ただ、私は幼い頃からどうもその類のファンタジーが好きになれなかった。それはオジサン扱いされ始めてきた三十路前となった今も変わらない。何故か?考えてみるとおそらくその答えは<大人が書いているから>だと気づく。大人が己のうちに潜んでいる(と設定している)ピュアなものを高田延彦ばりに「出てこいやー」と無理矢理ひねり出しているからなんだと思う。宮沢賢治のように生涯童貞を貫き、妹を愛したという気狂いなら私も両手を上げて降参するが、それ以外の「S」「E」「S」「E」「S・E・X!」なんて行為を経験した大人がピュアとか、本当、人格を疑いたくなる。さて、肝心の本作。冒頭に書いた奇妙なノスタルジーの正体は、―――私だった。小学校5年生の国語の時間、<創作>をテーマに生徒各自が自由に物語を創る授業があった。本作は、その当時の私の作風に似ているのだ。語彙の差は明らかながら、しかし、これは似ている。脈絡があるんだかないんだか、一行で起こるダイナミックな事象。たとえばそれは双子の女の子が入れ替わったり、恋の気持ちが高まり過ぎて煙になって蒸発したり、スイカを転がす能力が高じて星の自転を早めたり、いきなりミサイルに括りつけられる母のピンチが演出されたり、とにかくダイナミックなのだ。文章や構成が下手云々ではなく、ちょっと大人が書いているとは思えない柔軟な発想が至るところで跋扈している。選考委員はどう評価したんだ?と気になって調べたら、井上‘ドメスティック・バイオレンス’ひさしが「思いついた比喩やギャグを全部並べ立ててはいけない」とご尤もな一言。それでも、商業作品ではまず見掛けない作風は実に興味深い。じっくり読むかは置いておいて、その場で第二部『百花繚乱』の有言実行具合は確かめても良いかもしれない。あ、オチを言っておきます。主人公、目からビーム出して失明しつつ(特に意味は無い)、核兵器で汚染された星の浄化のためにその「星」になります。それで、詩人に「こんなことがあったんよぉ」と語り掛けます。ぐれいと。

第2回日本ファンタジーノベル小説 優秀賞:英雄ラファシ伝/岡崎弘明

category: あ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 60点 岡崎弘明

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