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角川ホラー文庫:黒い家/貴志祐介

黒い家
(あらすじ)
保険会社の営業職である若槻慎二は菰田重徳の家を訪れるが、そこで菰田家の子供が首を吊った状態で死亡しているのを発見してしまう。事件の疑いが濃厚な事案であったことに加え、菰田家には以前にも自傷とも疑われる不可解な保険金請求があったことから、若槻の保険会社では保険金の支払いを保留していたが重徳は執拗に支払いを求める。疑念を抱いた若槻は、一連の事件の首謀者を重徳と推測、妻の幸子に注意を促す匿名の手紙を送るのだが……

answer.――― 84 点

ホラー小説には食指が伸びず、未だ10冊と読んでいないのだが、その中で唯一<怖い>と慄かせてくれたのが本作「黒い家」。読んだ時期が思春期真っ盛りの原爆オナニーズだった頃なのを考慮しても、まあ、怖かった。概要としてはよくある保険金殺人なのだが、表題にあるように異臭漂う、黒く塗り潰された屋敷に放り込まれた終盤は混乱する主人公を導き手に読者の視界さえ奪う暗黒の世界へ。「暗い!」「見えない!」「このままじゃ殺される!」「ここはどこだ!?」―――閉じ込められたのが外観しか知れないあの「黒い家」と云う事実。あまりに暗く、何より狭いその小さな迷宮では、いつ犯人と鉢合わせるか分からない恐怖が迫る。黒を強調して読者の視界を奪い、目の前を異臭と足音で囲む演出は類まれない出来で「超能力や妖怪などの超自然的存在を利用せずに血も凍る恐怖を描くことに成功した」なんて書評家の礼讃も単なるリップサービスではないことが分かる。犯人を爬虫類に喩えるなど、前半から念入りに植え込まれた犯人への生理的嫌悪感も凄まじく、―――コイツ、マジで勝てねえ!マジで逃げてくれ!と読書中、主人公へ懇願気味に犯人への接近を拒んだことを覚えている。放り込まれた風呂場で気づく屋敷が黒い理由……単純ながらもそれだけによくよく想像してみるとまた怖かった。まさに、ホラーの真髄を堪能出来る一作。この手の作品はオチを知ってしまうと再読しようと思えないのが欠点だが、うだつの上がらない作家群には、是非とも何度も読んで、本作での恐怖の演出方法を盗み取って欲しい。とりあえず包丁を持った殺人鬼では菰田幸子、アンタが未だにNo.1だよ!

角川ホラー文庫:黒い家/貴志祐介 (1997)

category: か行の作家

tag: OPEN 80点 貴志祐介

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コメント

怖そう。

ほぅ~、レビューを読んでるだけで怖い。私もホラーは苦手であまり読まないのですが、気になりますね。ほんの数十分前に、貴志祐介さんの「新世界より」を読み終えたばかりというのもあり、まさにタイムリー。こちらは、SFファンタジーでホラー要素はさほど。分厚くて読み応え有りました。
勇気があったら、夏場にでもチャレンジしてみたいと思います。

ゆう #svfWGCro | URL | 2012/03/05 15:50 | edit

Re: ゆう

コメント、有難うございます!

> ほぅ~、レビューを読んでるだけで怖い。

いや、これが本当、恐い(はずな)んですよ!私のレヴューでは簡略化されていますが、視界を奪われた状態の襲撃が濃密に描かれていて、本当に「……(ぅお、マジで恐いなコレ!)」となりました。是非とも、私が嘘言ってないと納得して頂くためにもお読みくださいませ!

>私もホラーは苦手であまり読まないのですが、気になりますね。ほんの数十分前に、貴志祐介さんの「新世界より」を読み終えたばかりというのもあり

これ、私も本屋大賞ランクイン作品なので読むと思われるのですが、超憂鬱です。まあ、面白いらしいというのが救い。

Medeski #- | URL | 2012/03/05 18:05 | edit

「鍵のかかった部屋」がドラマ化、「悪の教典」は映画化、「新世界より」はアニメ化と貴志祐介ブームが来てますね。

私も読んでみたいと思っているのですが、かなり暗い作風と聞いてるのでまずは貴志祐介作品の中でスーパーライトな「新世界より」から入って徐々に、の方がいいんですかね。
レビュー見てるだけで既に欝入ってきてますけど・・・

にとり #X.Av9vec | URL | 2012/03/06 14:14 | edit

Re: にとり

コメント、あざーす!

> 「鍵のかかった部屋」がドラマ化、「悪の教典」は映画化、「新世界より」はアニメ化と貴志祐介ブームが来てますね。

悪の経典はすでに読んであるのですが、鬱というよりもむしろ愉快ですよ。序盤も序盤は淫行教師の件でマジで「うわ……(ぼろぼろになるのかこの話)」とか思ったのですが、何て事は無く、ドンドン快楽殺人です。読みやすいのでそこから読んでも良いのではないでしょうか?

Medeski #- | URL | 2012/03/06 15:07 | edit

日々雑記

こんばんは、人生楽しみです。
 2回連続、本屋大賞。2回連続、貴志佑介。2回連続ホラー。この流れは一体何を意味するのか・・・。
 貴志さんがホラー出身というのは知っていましたが、残念ながらホラーは未だ読んでいません。でも、「新世界より」のハゲネズミが育てたサコキラーが学校で次々とヒトを殺戮していく場面は、まさに「黒い家」ですね。貴志さんは、日本推理作家協会賞も受賞していますが、「硝子のハンマー」は本屋大賞に入っていませんか。誰か教えて!

人生楽しみ #- | URL | 2012/03/07 00:10 | edit

Re: 人生楽しみ

コメント、あざーす!

>  2回連続、本屋大賞。2回連続、貴志佑介。2回連続ホラー。この流れは一体何を意味するのか・・・。

モリタート、すべてはモリタートのためなのですよ!

>貴志さんがホラー出身というのは知っていましたが、残念ながらホラーは未だ読んでいません。でも、「新世界より」のハゲネズミが育てたサコキラーが学校で次々とヒトを殺戮していく場面は、まさに「黒い家」ですね。貴志さんは、日本推理作家協会賞も受賞していますが、「硝子のハンマー」は本屋大賞に入っていませんか。誰か教えて!

貴志さんの作品は基本的にハズレが無いのが嬉しいですね。新世界はボリュームで憂鬱この上ないのですが、面白い面白いアルアルと皆さんが口にしてらっしゃるので、アンパンマン気分で読もうと思っております。何やら「硝子のハンマー」がオススメのようですね?機会があれば是非とも読もうと思いますが、このブログ始めてからとりあえずの積み本の消化が優先されております。モリタート、モリタート!

Medeski #- | URL | 2012/03/07 02:02 | edit
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