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第8回本屋大賞 7位:悪の教典/貴志祐介

悪の経典
学校とは、子供を守ってくれる聖域などではなく、弱肉強食の法則が支配する生存競争の場だ。ここから無事に生還するためには、生まれ持った幸運か、いち早く危険を察知する直感か、あるいは暴力的な才能が必要になる。

answer.――― 82 点

生まれついての天使のような容貌とは正反対の悪魔の思考……『黒い家』での絶対<恐怖>の演出で読者の舌を巻きに巻いた貴志祐介が届ける21世紀のスキッツォイドマン・蓮実聖司が主役を飾る本作「悪の経典」。構成は雑誌連載の作品らしく、登場時点で30余人を葬った過去を持つサイコパス教師の視点を中心とした短編を重ねての、メインディッシュ―――<木を隠すなら森の中>を合言葉にしたALL FOR ONE―――2年4組抹殺計画が描かれる。予備知識の有無で評価が分かれる作品があると思うが、本作はまさにそれに該当する。本作はストーリーそれ自体を楽しむものではなく、ハスミンこと蓮実聖司というキャラクターを楽しむ作品。それは喩えれば『13日の金曜日』におけるジェイソン、『エルム街の悪夢』におけるフレディといったアンチヒーローを愛でるがごとくである。前半の短編の出来からストーリーを楽しむものとして本作を読み進めると、後半からの2年4組抹殺計画へ至るハスミンの思考過程はどうにも受け入れ難い間抜けさがある……が、あらかじめ本作が世間一般のイメージする<ホラー映画と同じ類>と認識しておけば、まったく違和感無く読み切れる。ハスミンが猟銃片手にバンバン生徒を殺していく様は凄惨ながらも実際、コミカルだ。もちろん、鼻を砕かれたりの反撃にも遭う。乾坤一擲、アーチェリーで戦おうとする生徒の出現はまさに狙って外す「B級」展開。分かり易いエンターテイメントが繰り広げられる。ただ、前半で見られる知的なハスミンのまま物語を読んでみたかったのも正直なところ。勿体無いと云えば、勿体無い作品だ。個人的に、本作最大の見所は生徒とのSEX描写だと思う。他者への共感能力に欠けたサイコパスという設定を生かし、両想いと勘違いしている生徒を動物的に性処理利用している場面は文章こそ短めながらも迫力があった。……巧い!

第8回本屋大賞 7位:悪の教典/貴志祐介

category: か行の作家

tag: OPEN 80点 貴志祐介

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