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富士見ファンタジア文庫:召喚教師 リアルバウトハイスクール 1/雑賀礼史

リアルバウトハイスクール
1.召喚された男
2.慶一郎ゴー・ホーム
3.幻想都市サーガイア
4.バイパーの罠
5.その教師、最強につき
6.Kファイト開始
7.臥竜鳳雛の闘い

answer.――― 55 点

俯瞰的に見れば、ある意味での富士見ファンタジア文庫の凋落の始まり―――とも評すことの出来る本編全19巻にまで渡ってしまったシリーズ作品の第一巻。その概要は海外で流浪の旅を続けていた格闘家が母校の教師となり、問題児溢れるクラスを切り盛りしていくというもの。そんな設定は発刊当時、話題を集めていた漫画『GTO』、格闘ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ』を混ぜ合わせたものであり、そこに<ライトノベル>らしい異世界ファンタジーを導入―――そう、本作、理解し難いことに主人公が『異世界』に召喚されたりする。そして、そこでドラゴンやらにカメハメ波みたいなものを放って無敵な感じで退治したりするのだ。こんな展開は現在のライトノベラーが読めば酷評確定だろうし、そもそもまともに読了さえ出来ないだろう。だが全19巻、足掛け14年の長期シリーズとなった事実を考えて欲しい。困ったことに本作、……人気があったのだ。いや、先に断っておくが、内容はまったく面白くない。なのに?である。どうして?である。その答えは、富士見ファンタジア文庫から出版されていたから。90年代末期の富士見ファンタジア文庫とはそういう存在だったのだ。かの三大ライトノベル以外、実質、ライトノベルとは何かも定かでなかった当時、“TOXIC TWINS”擁する富士見ファンタジア文庫は絶大な信頼を置かれていた。彼らが推すならボクらも乗ろう、そんな頭空っぽの都合の良いお財布君たちこそがライトノベラーだった。当時の潮流に剣と魔法、普通のファンタジーへの倦怠感があったのも本作に味方した。宣伝バンバン打ってるし、何か「面白い」気がするし、買い続けよう。そうして、いつも通りの十八番「本編+外伝」戦略である。<外伝>は主人公の学生編。キャラクターに深みがあるように錯覚するため、そこそこ楽しめてしまう。何にせよ、本作は泡沫の作品である。90年代の覇者だった富士見ファンタジア文庫が何故に今、ライトノベル界で斜陽の位置にあるのか?それは出せば売れる現状に安寧し、自己研鑽、自己批判、自己改革を怠ったからである。本作は紛れもない駄作ではあるが、90年代のライトノベル界の混沌、富士見ファンタジアの盛者、そして必衰の理を確認出来る意味で貴重な一作。ちなみに、万が一にも本作を気に入ったのなら電撃文庫の『学園武芸帳「月に笑く」』を薦めておきます。

富士見ファンタジア文庫:召喚教師 リアルバウトハイスクール 1/雑賀礼史 (1997)

category: さ行の作家

tag: OPEN 50点 雑賀礼史

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