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第7回本屋大賞 3位: 横道世之介/吉田修一

横道世之介
1.四月 桜
2.五月 ゴールデンウィーク
3.六月 梅雨
4.七月 海水浴
5.八月 帰省
6.九月 新学期
7.十月 十九歳
8.十一月 学祭
etc...

answer.――― 83 点

冒頭からしばし続くあまりにリアリティ溢れる上京してきた新大学生の「しょうもない」日常に、―――大学生必読の一冊!という謳い文句が脳内にこだましたが、途中、唐突に挟まれる謎の視点に「……邪魔するなよ!」と思ったのは私だけではあるまい。その謎の視点の正体は平凡極まりない主人公と関わった友人、知人たちの二十年後であり、そこで彼らの現在と、主人公への幾ばくかの当時の印象が添えられる。この辺りは文学畑出身である著者らしい構成で、同じ<人間>に対する評価の変遷―――つまりは時間軸を変えることで、登場人物自身の価値観の変遷を描きたかったのが伺える(そして価値観が変わっても、主人公は二人といない良い奴だったな、……という演出)。もっとも、文学のような<人間>への追究性は薄く、あくまで味付け程度の処理なために「それなら結局、……邪魔するなよ!」とも思ったのだが、とある登場人物の登場によってそんないつものイチャモンは彼方へと消えた。―――与謝野祥子、ここ一年読んできた二百冊近い本のヒロインのなかで彼女はBESTだ。マジで萌えた。表題をそれこそ「横道世之介」ではなく、「与謝野祥子」に改題すべきだとさえ思った。ついでに、彼女の視点で物語を編んでくれ!と未だ願って止まない。登場当初は侮蔑さえしていたのにいつの間にか惚れてしまっていた主人公のように、本作が本屋大賞にランクイン出来たのは間違いなく書店員もまた彼女にFalling In Loveしたからである。彼女の魅力については多く語るまい。読めば分かる、そして、シルヴィ・ヴァルタン宜しくIrrésistiblement(あなたのとりこ)だ。冒頭にも書いたが、主人公の時間の過ごし方は現在の大学生の生活そのまま。こうならないためにも、大学生は一度読んでおいて損は無いだろう。しかし兎にも角にも、本作の主役は―――与謝野祥子。きっと、読めば貴方も萌えられる。ちなみに、主人公の名前の由来は江戸時代の名作『好色一代男』からとのこと。己の無知をまた知りました。

第7回本屋大賞 3位: 横道世之介/吉田修一

category: や行の作家

tag: OPEN 80点 吉田修一 本屋大賞

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コメント

ベタぼれですね~ヽ(´∀`*)
わたし、初「吉田」さんだったので、どちらが作者名かわからないで読んでいたのですよ(笑)
祥子は良かったですよね~。
彼女の人生に大きく世之助がかかわったんだな~と。
今、自分の感想を読み返したところなんですが(笑)

igaiga #- | URL | 2012/04/05 09:03 | edit

Re: igaiga

コメント、有難うございます!

> 祥子は良かったですよね~。
> 彼女の人生に大きく世之助がかかわったんだな~と。
> 今、自分の感想を読み返したところなんですが(笑)

まさか、殺しのigaigaさんが読んでいると思わず、ノーチェックでした。そして、すぐさま飛んでコメントさせて頂きましたwこれからは大衆小説なら何でもチェックしに向かおうと思いますワン!

Medeski #- | URL | 2012/04/05 09:54 | edit

ここ1年でBESTのヒロインと聞いて読んで見ました。
…確かに素晴らしい。

本当に良いヒロインでしたね。最初出てきたときは「何だコイツ?」と世之介と同じ気分でスタートしたんですが、段々と惹きつけられてました。
少しずつ自分の世界に男を引き込んでいくなんて…。
祥子…。恐ろしい子…!?

個人的には途中の回想(?)って言うか、昔の友人たちの視点ってのは楽しく読まして貰ったんですが、ホント祥子の時は「よっしゃぁ、来た!!!」って気分でした。ヤバイ…。完全に祥子にはまっちまった…。

ただ最初BESTヒロインって聞いて、隣のお姉さんのことだとばかり思ってた自分はつくづくラノベに染まっちまったんだな…って悲しくなりました。
隣のお姉さんとFallin' love とかどこのラノベだよ…。

tokuP #- | URL | 2012/05/06 13:07 | edit

Re: tokuP

うぉっ、おっひさー!受験戦争は勝ちぬいていますか?コメント、有難うございます。

> ここ1年でBESTのヒロインと聞いて読んで見ました。
> …確かに素晴らしい。

記憶は薄れているのですが、それでも良質のヒロインだったのは覚えています。実際、今思い返してみても、まだ1番ですね……というより、他の作品のヒロインのレベルが低いとも云えるのしょうけど。

> 本当に良いヒロインでしたね。最初出てきたときは「何だコイツ?」と世之介と同じ気分でスタートしたんですが、段々と惹きつけられてました。

「何だコイツ?」……この演出が一番印象に残っているんですよね。悪いイメージから入っての徐々に女らしさをまとっていく展開。「地元の友達に気に入られようと一生懸命」なんて元カノが指摘してくるあたりから、あれっ想定外の展開??なんてなり始めて、……そこからが凄かったですね。

> 個人的には途中の回想(?)って言うか、昔の友人たちの視点ってのは楽しく読まして貰ったんですが

その辺は著者の他作品を読んでいた差が出たかもしれないですね。レヴューでも書いたのですが、この作家、非常に現代(90年代~)を描くのが上手いため、「大学生」について描いて欲しかったんです。tokuPさんも大学2年生になったとき、本作をもう一度読んでみてください。「あっ……やべえ!」ってなったら、そこから充実したが大学生活を送れると思います。「あっ……やべえ!」とならなかったらすでに充実しているので、周りのそれらしい同輩に薦めてみてください。感謝されます。

> ただ最初BESTヒロインって聞いて、隣のお姉さんのことだとばかり思ってた自分はつくづくラノベに染まっちまったんだな…って悲しくなりました。
> 隣のお姉さんとFallin' love とかどこのラノベだよ…。

誰が何と言おうと、ラノベは害悪なのは事実です。まかり間違って文学やそれに比肩すると考えてはいけません。たとえ「そういう」レベルの作品がライトノベルにあっても、それは異端中の異端であり、作者が悪趣味でライトノベルにしてしまっただけで、誉めるべきところ以外を誉めてはいけません。

……きっと、ライトノベルは悪魔の兵器として日本人を狂わせるっ!! ← 大袈裟に言っているけど、案外、マジで言ってる危ない人より。

Medeski #- | URL | 2012/05/06 15:08 | edit
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