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第1回本屋大賞 10位:ららら科學の子/矢作俊彦

ららら科学の子
(あらすじ)
男は三十年ぶりに中国から帰還した。彼には学内闘争の最中、殺人未遂容疑で指名手配を受け、文化大革命の中国に密航したという過去がある。彼を匿う組織、蛇頭との抗争、不思議な女子高生との出会い、幼くして別れた妹の追跡。渋谷を舞台に展開される目まぐるしい日常の中で、彼はやがてすべてが変わっているようで本質的には何も変わっていない日本の姿に気づき、愕然とする。その果てに下した決断とは。

answer.――― 60 点

本作をストーリーの観点から評価するのは非常に難しい。それというのも実質、本作にストーリー展開が「無い」からだ。最初から何の話なのか分からないまま進み、謎解きやどんでん返しもなく、それで最後まで結局、何も起こらないまま終わる……では、何を楽しむ小説なのか?それはあらすじからも察せられる通りの、主人公の30年ぶりに訪れた日本へ対するカルチャーショックで、携帯電話、援助交際、プリクラ、エイズ、光ファイバー……90年代末の流行りものを挙げながら、それでも変わっていないものを確認していくことだ。カルチャーショックと云って安易なコメディに仕上げようという意図は著者に無いらしく、主人公はそれらを目に耳にしても慌てふためいて驚くことはない。淡々と心のうちで受け入れ、自分の時代の言葉で置き換えていく(ex. 長嶋茂雄、三船敏郎、電話線など)。この点は是非の分かれるところだろう。ストーリーなく、虚しさこそあれ主人公に感情の起伏ない本作だが、その分だけ文章には気を遣い、浦島太郎を演出出来ている。個人的には、戸籍上死んだことになっている主人公が、そのまま作中に名前が出ないまま、再び日本を去っていくところに職人芸を見させてもらった。がしかし、エンターテイメント性は非常に低いと言わざるを得ない。第1回本屋大賞はまさしく「第1回」らしいクエスチョンマーク浮かぶナイスな選考だったことを証明する一作。

第1回本屋大賞 10位:ららら科學の子/矢作俊彦

category: や行の作家

tag: OPEN 60点 矢作俊彦 本屋大賞

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