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第6回本屋大賞 1位:告白/湊かなえ

告白
1.聖職者
2.殉教者
3.慈愛者
4.求道者
5.信奉者
6.伝道者

answer.――― 84 点

低コストに高パフォーマンス―――2010年に松たか子を主演に迎え、一人芝居からの「ドカーン!」のCMで話題呼んでは大ヒットを招いた映画『告白』。しかしながらも、その原作もまた映画化前の2009年に本屋大賞を受賞、そもそもに出版した2008年にさえ週刊文春ミステリーベスト10、このミステリーがすごい!にランクイン!!と、元より華々しい経歴を持つ作品。驚くべきはこれが著者のデビュー作という事実!なんてところは、むしろ個人的には腑に落ちた。というのも、終章「伝道者」でのそれこそ「ドカーン!」エンディングは何しろ力業だったからだ。展開自体を否定するつもりはないが、……それ、本当?と設定面での疑問が浮かんでしまったのは渋面にならざるを得ない。しかし当初、本作は一章のみの構想だったとのこと。それを<告白>というコンセプトで一つの作品に仕上げたところは、まさしく期待のニューカマーと称えるに相応しい好アレンジ。そう、本作の醍醐味は章ごとに変わる視点人物たちの抱えている<コンプレックス>、内に潜める<悪意>が視点人物となることで暴かれていくところだ。誰もが我儘で、誰もが自分にとって都合の悪いことに目を瞑っている……本作は、そんな<性悪説>を基に創られているのが分かる。視点切り替えの妙を堪能出来る一作で、ミステリーにも関わらず二度読めそうなのが嬉しい。隠れたファンインプレーな設定として、登場人物を「中学生」にしたのも良かった。幼過ぎだろ、と無意識下で冷めかける登場人物たちの行動、思考があるものの、これも中二病と思えば流せてしまえる。無理は多々見られるが、それも気にならないほど、各々の身勝手な<告白>演出を楽しめた。著者には同じ作風で、もう一度チャレンジして欲しいね。

第6回本屋大賞 1位:告白/湊かなえ

category: ま行の作家

tag: OPEN 80点 湊かなえ

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コメント

この作品のうまいな、と思ったのは
皆が皆、どこか自分よがりな「告白」をする中、
全員が決して本当のことを語っているとは限らないところ。

各自の告白に少しずつのずれがあって
(読んでから随分たつので、細かいことは忘れたけど...)
ああ、これは嘘かもしれない、と思ったりするものの、
結局最後は読み手が勝手に想像するしかない部分が
いくらかあったように記憶しています。

これがデビュー作、というのは凄いの一言ですが、
その分余計にこの作品以降、どうも似たり寄ったりな内容で、
ぱっとする作品がないのが残念なんですよね...。

ちゃき #mQop/nM. | URL | 2012/04/09 19:43 | edit

Re: ちゃき

コメント、あざーす!

> この作品のうまいな、と思ったのは
> 皆が皆、どこか自分よがりな「告白」をする中、
> 全員が決して本当のことを語っているとは限らないところ。

この人だけの手法ではないのでしょうけど、あまり見掛けない手法ですよね。私はたまに書き口を音楽の構成(クラシックなら格好良いのですが、知識が足りないので大概はロックです)で置き換える場合があるのですが、本作はZEPの「天国への怪談」が過ぎりました。重なりながら重ならない、そういう視点はどんなものでも面白い!思ってしまうものなんだと思います。

>この作品以降、どうも似たり寄ったりな内容で、
>ぱっとする作品がないのが残念なんですよね...。

勝手ながらに、この作家、多分そうなんだろうな、と思いました。こういう群像劇に近い演出をする作家って長編(ひとつの視点で書き切る作品)が苦手なんだろうなと思ったからです。それでもって、この人、いきなり「当て」ちゃったので、自分がどういう作家で、何が足りないのか整理できないまま、今も書いているんだと思います。才能的には天才肌な気がするので、書けば書くほど摩耗してしまうでしょうから、つるっつるになって、開き直って欲しいですね。

―――なんて、他の作品読んでないのに予想してるんですけど\(゜ロ\)(/ロ゜)/ハッハー

Medeski #- | URL | 2012/04/09 19:55 | edit

世直しやんちゃ先生って・・・と思った思い出が(笑)
しかし・・・これはラストで驚きました。
「あぁ・・・わたしはなんって甘ちゃんだったんだ」と。
これ以降割と湊さんの本は読むようになりましたが、
結構系列は似ているかも(^^)
割と救いようがない作品が多いので好きな作家さんであります(笑)

igaiga #- | URL | 2012/04/10 09:05 | edit

Re: igaiga

コメコメ、あしゃしゃーす!

> 世直しやんちゃ先生って・・・と思った思い出が(笑)

私、元ネタであるあの世直せない不良教師な政治家はウェルテルの喩えでさえ生ぬるいので、いっそ作中で強姦した上に選挙で不正繰り上がり当選くらいする描写して欲しかったです。アナーキーなフリした作家さん、大好きです。

> これ以降割と湊さんの本は読むようになりましたが、
> 結構系列は似ているかも(^^)

天才はその実、パターン作家ですからね。そのうち試行錯誤が裏目に出てくる気がしてなりません。そういう時は、原点に戻れ、と言いたいですね。お前は、それしか書けないんだよ、と。 ← 森見登美彦へ贈りたい言葉でもあります。何がペンギンおっぱいハイウェイだあの馬鹿作家め!

Medeski #- | URL | 2012/04/10 11:23 | edit
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