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第4回本屋大賞 9位:失われた町/三崎亜記

失われた町
1.風待ちの丘
2.澪引きの海
3.鈍の月映え
4.終の響い
5.艫取りの呼び音
6.隔絶の光跡
7.壺中の希望

answer.――― 58 点

三〇年に一度、突然一つの町の住民が跡形もなく「消滅」する世界……大切な人を失った人々の思いは?「消滅」との戦いの行方は?―――なるあらすじと著者のデビュー作を知る人ならばピン!と察せられるだろう本作は、通称「町」シリーズの第二弾。シリーズと云っても、創作上のコンセプトが共通しているだけで、作中世界を共にしているわけではない。文学作品ならば宮本輝の「川」三部作、ライトノベルならば有川浩の「自衛隊」三部作のようなものだ。作家をアーティスト=一人の芸術家として捉えるなら、創作上でひとつのコンセプトを持つことは、著者の後の作風、思想の変遷を知る上で役立つことになるので個人的に大いに推奨したい創作スタイル。出版点数ばかり増えた昨今、作家は自己プロデュースが出来なければならない時代になったが、「作品」ではなく、「作家」としての<コンセプト>を持つ発想が作家業を続ける秘訣になると思うので、これから作家になる人は心に留めておいて欲しい。さて、話は逸れたが本作は一刀両断に値する駄作の類。町が消える、そこから派生する問題で、人々が何より思い悩むのは<哀しむ>ことを禁じられていること。そんな設定面を肯定的に取り上げるレヴューが散見出来るが、この手の人はライトノベルで同じ設定があったとして果たして同じ評価をするだろうか?何でライトノベルを引き合いに出すのかといえば、本作、非常に読みにくいからだ。序章に「エピローグ、そしてプロローグ」と置かれて物語が始まるが、読み進めたい!と思うフレーズがここで出ないのが厳しい。そこから造語が頻出し、SF活劇と思って読み進めれば、登場人物の心の触れ合いに力点を置こうとしていたりと、とにかく中途半端だ。本作を「面白い!」と感じた人は、それはある種のナルシズムによる錯覚なので注意して欲しい。本作、楽しむために理解力が要るのではなく、単純に<下手>なのだ。同じ設定を思い浮かべて文章を平易にし、それでライトノベルとしてリリースされていたら絶対に貴方は酷評する。読みにくいから面白い、そんな中二病に罹ってはいけない。余談だが、単行本における装丁の工夫はお洒落で、そこは〇を贈りたい。

第4回本屋大賞 9位:失われた町/三崎亜記

category: ま行の作家

tag: OPEN 50点 三崎亜記 「町」シリーズ

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コメント

あら、酷評なんですね... (^-^;)
実は私、この作品を絶賛したクチです(笑)。
三崎亜記はデビュー当時から大好きな作家で、
中でもこれが一番のお気に入りだったりするのですが、
三崎作品は全般的に好き嫌いが
はっきりと分かれそうな気はします。

この作品、「読みにくい」という意見を確かによく聞くのですが、
個人的にはあまりそういう印象もなくすんなり読めたので、
もしかすると「合う」「合わない」がある作家なのかも、
という気がしてきました。

でも初めて三崎作品を読む人にはこれはお勧めしないかも。
他の作品で三崎ワールドに少し慣れてから読んだ方が
入りやすいかもしれないですね。

まぁ、他の作品読んで、合わないな、と思う人は
この作品は受け付けないだろうな、とも思いますが...。

ちゃき #mQop/nM. | URL | 2012/04/11 21:34 | edit

Re: ちゃき

はわわわわわわわわわ、ごめんなさーいっ!

> 三崎亜記はデビュー当時から大好きな作家で、
> 中でもこれが一番のお気に入りだったりするのですが、
> 三崎作品は全般的に好き嫌いが
> はっきりと分かれそうな気はします。

これ、もしかすると、ライトノベルを読む人がダメなのかもしれませんね。というのも、よくあるんですよコレ系。<終末>モノって云うんですけどね。それでもって、ハートフルな展開だとより過剰に演出されているものが多いので……もしかしたら、18禁ゲームなんかかな?ちゃきさんは120%プレイしたこと無いと思うのですが、エロゲー、泣きゲーって言われている作品は、登場人物の「キャラクター化」こそ酷いですが、そこを取り払うと、本作ととてもよく似た題材が多いので、慣れているために評価が低くなってしまったのかもしれません。読みにくさっていうのも、集中力を要する作品ですよ、って前置く出だしの割に、続きで求心力あるネタを振って来なかったのが頭来たのもありますね。

> でも初めて三崎作品を読む人にはこれはお勧めしないかも。
> 他の作品で三崎ワールドに少し慣れてから読んだ方が
> 入りやすいかもしれないですね。

こうなると一作目が気になりますね。どこも絶賛されているので。

Medeski #- | URL | 2012/04/11 21:49 | edit

三崎亜記さん好きなのです

私も結構好きです。
三崎亜記ファンなのです。

でも、「バスジャック」や「鼓笛隊の襲来」とかの方がより好きなので、
「失われた町」はよかったのだけど、これからつながるシリーズは
ちょっとばかり重いかもしれないですね。

patch #- | URL | 2012/04/16 00:30 | edit

Re: patch

やややっ!?

これはコメント、有難うございます!

三崎亜記ファンまでを愚弄するこんなレヴュー、何か申し訳ございません!上記のちゃきさんへのコメント返信で書かせて頂いたのですが、この辛辣なレヴューの遠因はライトノベルに起因しているような気がします。というのも、設定をやはり評価出来ないんですよね。この設定を面白いと思えて、初めてじっくり読んでみるか、の構えに入るような気がするのです。

Medeski #- | URL | 2012/04/16 01:29 | edit
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