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第18回電撃小説大賞 大賞:エスケヱプ・スピヰド/九岡望

エスケヱプ・スピヰド
壱.覚醒
弐.記憶
参.使命
四.修羅
伍.意思
六.灼熱

answer.――― 77 点

先日、公称1,000万部―――天下のナベツネ新聞(のコラム@2012年04月22日)にて、その応募総数からライトノベル界の最高勲章に認定された電撃小説大賞。本作はその栄えある大賞作であり、選考委員のKINO SIGSAWAをして「他の選考委員が低評価でも『時雨沢恵一賞』を新設して推そう」とまで意気込ませた快作。その概要は、昭和一〇一年七月と置かれた日本を思わせる近未来を舞台に、冷凍睡眠から目覚めた少女が「鬼虫」と呼ばれる超高性能戦略兵器の暫定的な司令官となることから始まる人間と兵器、ガール・ミーツ・ボーイの物語。一読しての感想としては、巧いな、と。<戦闘兵器>の設定を活かした圧巻の戦闘描写はもちろんのこと、個人的に一番感心したのが「回想」シーンを挿し込むタイミング。本作は昨今のライトノベルに付きものの「萌え」要素をほぼ排しての硬派な作風。これはともするとLightに読めず、その事実が作品に対しての悪印象に繋がってしまうのだが、本作では主人公とヒロイン、それぞれの兵器になる以前の過去、娼館に売られた過去……と、否が応でも関心を持ってしまう「回想」を読み疲れたタイミングで挿し込んでくる。語彙豊富=巧い、という陥り易い罠を避け、しっかりと読者の目(=構成)を意識してあるのが素晴らしい。第4回の大賞作『ブギーポップは笑わない』のような作品が世に出ることで変わる革新性は無いが、それ以外は十分に大賞作の格を備えた作品。終盤における<蜻蛉>との決戦、勝負を決める「速さ」の件は戦闘狂の読者垂涎のモノローグ。この作者は描き方を分かっている。シリーズ化して人気を博すかは今後の女性キャラクターの動向次第だと思うが、一作品としてのクオリティは高い。ライトノベル界の最高勲章を授与されるに相応しい作品だ。ところで当の本人は忘れているが、上述の『時雨沢恵一賞』はすでに創設されており、その第1回の受賞作は『パララバ -Parallel lovers-』である。流石、確固たる地位を築くべく権力闘争に明け暮れるKINO SIGSAWAである。

第18回電撃小説大賞 大賞:エスケヱプ・スピヰド/九岡望

category: か行の作家

tag: 電撃小説大賞大賞 OPEN 70点 九岡望

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コメント

端々から立ち上る秋山臭……

二巻、三巻と色々言われてたり叩かれてたりする。
が、その批判の内容は、とてもデビュー一年目の新人に叩きつけるような内容ではなかったりする。
さぁ、今後どうなるか。

岩木 #SFo5/nok | URL | 2013/02/04 00:01 | edit

Re: 岩木

やぁーまだ!コメント、有難うごさいます!

興味はあれども伸ばし伸ばしで、結局、まだ読めていないのですが好評を博しているようですね。個人的に、ある程度の成功は見込めるのですが、突き抜けるには後援が不可欠な印象があります。

> さぁ、今後どうなるか。

詰まる所、こんな感想に落ち着いちゃうんですよね。新しい要素が無いのが最大の弱点。それをテクニックでカバーしている感じです。

Medeski #- | URL | 2013/02/05 20:29 | edit
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