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第4回本屋大賞 5位:図書館戦争/有川浩

図書館戦争
図書館の自由に関する宣言

一、図書館は資料収集の自由を有する。
二、図書館は資料提供の自由を有する。
三、図書館は利用者の秘密を守る。
四、図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。

answer.――― 75 点

有川浩によるライトノベルと大衆小説のクロスオーバーを成立させた代表的シリーズ作。その概要は、公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律「メディア良化法」が施行された架空の現代日本を舞台に、不当な検閲から「本」を守ろうとする図書隊員たちの戦いとその日常を描いたもの。正味な話、私の琴線に触れる内容ではないのだが、本作がライトノベラーだけでなく、一般読者層にも支持を広げられたのは理解出来る。その要因は<図書館>という日常の要素と、<自衛隊>という非日常の要素を掛け合わせている点。特に、一番「効果的」だったのは後者、<自衛隊>だ。本作の比較対象にSD文庫の『ベン・トー』を挙げたい。そのあらすじは、半額弁当を奪い合う、というシュールなものだが、不当な検閲から本を守る、という本作のあらすじと実際問題、何が違うのか?その答えが<自衛隊>という訳だ。自衛隊を取り扱う作品は総じてシリアスなため、本作を読む構えも頭ではB級と分かっていてもシリアスなものとして捉えてしまう。それがライトノベルと大衆小説のクロスオーバーを成立させた最大の要因だろう。登場人物たちの台詞回しは自衛隊色を色良く反映し、銃撃戦を含めた本を守る行動もまた、シュールながらに迫力がある―――というより、しっかりと死人が出る。構成も凝っていて、襲撃/防衛ばかりかと思えばマスコミを絡めての図書館利用に関してのフォーラムがあったりの、政治を絡めた展開は実にミリタリーマニアらしい著者ならでは。本作における有川浩的恋愛は前面に押し出されておらず、無駄な忌避反応をせずに済み、頁の推進に貢献。終盤にきっちりとクライマックスな攻防戦を配するなど、バランス感覚の優れた作品に仕上がっている。個人的には本作が「OK!」の読者ならば、上記のライトノベル『ベン・トー』にも手を出して貰いたいところ。果たして「……これはライトノベル(笑)」と見下げるのか、その判断が興味深い。

第4回本屋大賞 5位:図書館戦争/有川浩

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 有川浩

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コメント

この作品のすごいところは将来起こりうる可能性を秘めているというところでしょうか。

実際シリーズが進んでいくとリアルな規制とかの話が出てきて、出版当時はそれこそライトノベル(笑)とか言えてたのが現実になってしまったりしていて有川浩の最高傑作で間違い無いです。

おかげで他の作品がどれも霞んで見えるんですがw

にとり #X.Av9vec | URL | 2012/05/01 23:19 | edit

Re: にとり

コメント、あじゃじゃーす!

>この作品のすごいところは将来起こりうる可能性を秘めているというところでしょうか。

ダメだ、不必要に持ち上げちゃあ……オバサンがまた調子に乗っちゃう。しかし、慎太郎の後援まで受けるとは相変わらずフザけたババアだ。万が一にもこのまま「有川浩=現代最高の書き手」とかなる潮流が続いたら、私は一人の巨人として徹底的なアンチキャンペーンを打つことになるでしょう。

しかし、良く出来ているのは事実ですね。よくもまあ、あの悪趣味をテーマで覆い隠せたもんです。ちなみに、ロックミュージシャンで喩えるなら、私のなかで有川浩はBon Joviです。しかも、「Crush」(It's My Life収録)以降の。

Medeski #- | URL | 2012/05/02 01:59 | edit
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