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第5回小学館ライトノベル大賞(ガガガ文庫部門) 優秀賞:キミとは致命的なズレがある/赤月カケヤ

キミとは致命的なズレがある
1.海里克也
2.雨笠良平
3.赤鬼
4.犬飼真澄美
5.宮崎ひなた
6.山美鳥
7.遠崎ほづみ
8.夢乃咲希

answer.――― 69 点

これは、なかなか評価が難しい一作。というのも、エンターテイメント性は十分にあるのだが、読みながらに違和感が付きまとい続けたからだ。その違和感は登場人物の一人、山美鳥。このキャラクターが奇妙なまでに作中で「浮いている」ことに起因する。しかしながら、彼女こそが本作をライトノベルとして読者に認識させる要因でもある。応募時点での表題が「From~とある不幸の手紙」であったように、本作はサイコ・サスペンス。事故で10歳以前の記憶を失っている主人公が「見えないモノが見えていないか?」という思わせぶりな保健医の台詞から幻覚を自覚し始め、再び自らに記憶喪失の病がぶり返したのかと焦燥を募らせる……といった概要。この焦燥が上手く書けていて、主人公の混乱が読み手にしっかりとフィードバック出来ている。その仕掛けは、主人公を除く登場人物全員が(読者に)あからさまに「何かを隠している」と匂わせていることにある。これは三流の書き手では実は描けないので(理由:そもそもにその演出方法を知らない)、その点を含め、著者の作家として力量は確かだ。ただ、ここまで上手く書けていると、例えば「うーみん、○○は××っすよー」という独特の語尾を持つキャラクター造形や、ライトノベル的には自然なやり取りが逆に感情移入を解いてくる。本作はライトノベルと大衆小説のクロスオーバー作品に数えても良いと思うが、そうした観点を踏まえると、どちらかといえば、ライトノベルから大衆小説に接近した、というよりも、大衆小説からライトノベルへ接近した、というニュアンスがしっくりくる。ただ、サイコが確定してくる終盤は、しっかりライトノベルなのでここはご安心、またはご愛嬌。ラストは、保険医の手記(?)で心理学を交えて物事を整理してくるが、ここに批判が集まるのも致し方ないかもしれない。ご都合のパターンとして有り触れているため、構成面での工夫が欲しかった。個人的には早々にバラした上でのサスペンスにすれば良かったかなとも思う。グダグダ書いているが、……ゴメン、どうしても『姑獲鳥の夏』としか思えないわ。山美鳥を主人公にした続編なら読んでみたい。

第5回小学館ライトノベル大賞(ガガガ文庫部門) 優秀賞:キミとは致命的なズレがある/赤月カケヤ

category: あ行の作家

tag: 小学館ライトノベル大賞(ガガガ文庫部門)優秀賞 OPEN 60点 赤月カケヤ

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