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第7回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:ノーティアーズ/渡辺由佳里

ノーティアーズ
(あらすじ)
アメリカのネット業界は生き馬の目を抜く。そこではビジネスも恋も、泣き言は言いっこなし。日系女性の生き方をスラングを交えた切れのいい文章で描く快作。

answer.――― 69 点

主人公を日系と云えども異邦人とするのは、なかなか勇気が要る―――というよりも、個人的にはファンタジーでもないかぎりは賛成出来ないのだが、著者のプロフィール(アメリカ在住、翻訳業等)を見るかぎりでは、ジューン・ムラカミを主人公にするのはむしろ自然かとも思う。ここ一年、邦人作家ばかり読んでいただけに、翻訳文を思わせる文体は新鮮に映り、楽しく読めた。物語は、三十路過ぎのキャリアウーマン(バツイチ)が入れ替わりの激しいIT業界で心身ともに疲れ果てながら、キャリアと恋を手にする、というもの。男に舐められないために泣かないと決めた女が涙を流すラストといい、まあ、―――王道である。奇を衒ったのはM&Aが日常場面で執り行われるように、ビジネスをテーマにしていることくらいで、構成こそ起承転結揃えているものの、ストーリーに期待し過ぎると肩透かしをくらうだろう。そんなこんなで、本作のメインは文章表現、スラングだと思える。冒頭のフロイトのエディプス・コンプレックスから拝借しただろうペニス・エクステンダーの件は、なるほど、と思わせるものがあったし、若さに任せた向う見ずな→経験に裏打ちされた云々のラインのように、カウンター的な表現の切り返しは個人的趣向に合う。ただ、上述の通り、物語的には丁寧ではあるものの、サプライズ要素が希薄なのがマイナス。悪くはない、……が、そこから「推す」要素がね。おそらく「破綻」を嫌う癖が著者にあると思うが、それが作品をこじんまりとさせてしまうことを自覚すると化けるかもしれない。

第7回小説新潮長編小説新人賞 受賞作:ノーティアーズ/渡辺由佳里

category: わ行&数字の作家

tag: OPEN 60点 渡辺由佳里 小説新潮長編小説新人賞

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