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電撃文庫:ロミオの災難/来楽零

ロミオの災難
これは
一冊の台本より
始まった
恋をめぐる
ちょっと
怖い物語。

answer.――― 72 点

第12回電撃小説大賞<金賞>受賞作『哀しみキメラ』でのデビュー後、著者にとって初となる単発の書き下ろし作品。その内容は表題から察せられる通り、シェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』を用いたハイスクール・ミステリー。古典の名作を拝借するアイディアは、野村美月の代表作『文学少女』シリーズを想起させるが、出版時期から鑑みても、あながち邪推とまでは言い切れないだろう。肝心の内容は、―――大胆さに欠けながらも、本家と比して無下に扱き下ろされないクオリティー。概要としては、演劇部の面々が『ロミオとジュリエット』の脚本を見つけたことから始まる「憑依」ミステリーで、唐突に女も男(笑)も主人公に惚れるハーレム展開はそのまま受け取ればコメディにも映るはずだが、著者の高い筆力によって主人公の戸惑いが終始しっかりと根付き、安易な<恋愛>を許さないのが素晴らしい。この恋は自分のモノなのか、他人のモノなのか。登場人物はクライマックスである文化祭、その劇の終わりまで戦うことになる。コメディタッチに半ば命を賭けた劇の出来はもちろんだが、何気に秀逸なのはその劇の<準備>だろう。劇の演出を協議する場面は場面としてとても新鮮で、作家としての仕事点が高い。惜しむらくは展開の起伏が少ないために冗長に感じてしまう点、そして、主人公の謎の一人称。この主人公、台詞は「俺」とし、地の文は「僕」としている。仕掛けなんだとばかりに期待していたら、どうやら特に意味は無いようだ。これが非常に残念。主人公自身、無意識下で乗っ取られている感覚があった、と言及しているのだから、この仕掛けを通じて意識「化」して欲しかった。しかし、それを差し引いても、良質なライトノベルには違いない。演劇を題材している物珍しさも含め、ライトノベルというジャンルに貢献している一作。良いと思います。

電撃文庫:ロミオの災難/来楽零 (2008)

category: ら行の作家

tag: OPEN 70点 来楽零

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