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電撃文庫:レンタル・フルムーン 第1訓 恋愛は読みものです/瀬那和章

レンタルフルムーン
1.満月ツクモに気をつけろ
2.恋愛は読みものです
3.教訓にも間違いはある
4.満月ツクモと関わるなら、覚悟しろ

answer.――― 73 点

前半は82点後半は65点―――加して除して小数点以下を切って、73点。これが本作の配点の内訳である。前半は「何でコレが売れないの!?」と驚愕さえしながら頁をめくった。アンチとさえ自称するライトノベラーの私を驚愕させたライトノベル作品と云えば、『イリヤの空 UFOの夏』における終わることのない絨毯爆撃な文章、『ひかりのまち nerim's note』におけるダイナミックなOP(と幽霊さん登場までの拡張する世界観)があるが、本作もそれらに伍するものがあった。本作に突き抜ける設定は無い、―――がしかし、本来的に日陰者のライトノベラーが望む「すべて」が頁をめくる度に整えられていった。しかもこの作者、間違いなくソレを「狙って」揃えていった。その事実に、私はただただ慄いたのである。いちいち地味に称賛に値する設定を並べるのも面倒なので、私が地味に(……巧い)と唸った場面を挙げる―――主人公が襖を開けたシーン、そして、ヒロイン営む貸本屋の客層である。前者はオリジナリティ溢れる場面という訳ではないが、最高のタイミングで挿し込んで来たことが素晴らしかった。本作は主として学校を舞台にした物語ながら、宇宙スケールの物語であるとあの瞬間、読者に示した。後者もまた然りで、作品世界の拡張に関係する。……あまりにシュールである、故にこの非日常を「ありそうな」日常と受け取れるのだ。前半は完璧で、私のレベルでケチをつけるのは困難だが、後半で本作が売り切れなかった理由が判明する―――《恋愛》、そして、《コメディ》だ。完璧な著者は完全に間違えた。ライトノベルにおける恋愛で主人公自ら惚れてしまうのはレッドカードさえ出されかねない悪質なファウルなのである。そして、敵をギャグキャラにしてはいけない。ライトノベラーは貴族の血を引く高貴な者たちなのだ。ギャグキャラを相手に無力感に襲われるような苦戦をしたくないのである。そこを著者は把握出来ていなかったのが非常に悔やまれる。それさえ改善されていれば、……打ち切られることも無かっただろう。リアルに隠れてしまった秀作。あ、マスコットキャラのクルン、評判以上の破壊力でした。まさに健気の権化。

電撃文庫:レンタル・フルムーン 第1訓 恋愛は読みものです/瀬那和章 (2009)

category: さ行の作家

tag: OPEN 70点 瀬那和章

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