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電撃文庫:雪蟷螂/紅玉いづき

雪蟷螂
1.白い絶望
2.蛮族の戦うた
3.蟷螂の婚礼
4.狂人の現神
5.盟約の魔女
6.魔女のはなむけ
etc...
answer.――― 72 点

人喰い三部作、その最後を飾る三作目。過去作では文字通り“人を喰う”魔物が主要登場人物として登場してきたが、今回の“人喰い”はあくまで“比喩”であり、実際に人を喰うわけではない。 ○○三部作のようなコンセプト・シリーズの醍醐味は、その「○○」を様ざまな角度から描くことだと思うので、この言葉遊びからの創作アレンジは及第点(厳しく言えば、『MAMA』の“人喰い”にも工夫が欲しかったが……)を与えられる。ストーリーラインは、長年いがみ合う部族が十年前より交わされた政略結婚をもって和する、というもの。特筆すべきは、描写の多寡に関係なく付きまとう作中世界の「白さ」だろう。雪国の部族の生活を特段言及していないため、そこに批判が集まっているが、そんなクレーマーたちもその「白さ」だけは認めるところだろう。(キャラクターを通して)描かずに表現する。これこそ紅玉いづきの筆致、作風の専売的なセールスポイントだと思う。もっとも、政略結婚成立を前にした何者かの裏切りから端を発する決死の究明劇、そこには雪蟷螂特有の隠された愛が……!なストーリー自体はオーソドックスで、それ故に読ませるものの、明確なサプライズを用意出来なかったのはまさに画竜点睛を欠いた印象。特に、鍵になるはずだった従者トーチカの消化不良感は否めない。物語はコンセプトである“人喰い”で〆られる。収まりが良いが、ここでライトノベラーが好きそうな有名な詩を引用してみよう。

手の上ならば尊敬のキス 額の上ならば友情のキス 頬の上ならば厚意のキス 
唇の上ならば愛情のキス 瞼の上ならば憧憬のキス 掌の上ならば懇願のキス 
首と腕ならば欲望のキス さてその他は、―――狂気の沙汰。

果たして、本作のラストが未だ受け継がれるこの詩に応えられているか、皆さんで判断してみて下さい。どうも、個人的にその狂気の沙汰ってものが観たくてね。

電撃文庫:雪蟷螂/紅玉いづき (2009)

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 紅玉いづき 人喰い三部作

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