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文春文庫:インシテミル/米澤穂信

インシテミル
警告
この先では、不穏当かつ非論理的な出来事が発生し得ます。それでも良いという方のみ、この先にお進みください。

answer.――― 74 点

六十余年生きている母にはミステリードラマに関する「残り三十分から見れば良い」なる人生訓がある。その心は、……トリックも5分くらいでまとめてくれるし、殺した動機を教えてくれるから!という身も蓋もないものなのだが、これを耳にして当時思ったのは結局、ミステリーに求めるのは<殺した動機>=<ドラマ>であり、トリックはあくまでオマケだという事実だった。主演に藤原竜也を招いて映画化もされ、セールス的には著者の作品中随一と予想される本作「インシテミル」。時給11万2000円の触れ込みに釣られた者たちが閉鎖空間で殺し合う、いわゆるクローズドサークルを題材に取り上げ、著者自ら「自分なりにとことんミステリを追究した」とホラ吹く力作だが、母の人生訓から<殺した動機>もとい<ドラマ>を読めば、その読み応えは┓(;´_`)┏の出来。ドラマ無く人が殺され、各個人が抱えるドラマはそれぞれ一頁で消化or消化不良のまま強引に幕を引く。ラストだけでストーリーを理解してみれば、本作が拙く「面白くない」作品であることが分かる。ただ、クローズドサークルは結果ではなく、過程こそピークの構成を持つ題材だ。本作も著者の端正な文体に支えられ、その過程では不条理な設定が魅せてくれる。著者ホラ吹く「とことんミステリ」は、有名作の引用であり、そこを楽しむ体もあるようだ。本作は著者の作風である青春ミステリ、『日常』を描いてきた延長上での産物だとも思われるので、派手な<ドラマ>を求めるのは野暮なのかも。しかし個人的には、見栄えが良い設定が並んで中身が伴っていない凡作の印象。

文春文庫:インシテミル/米澤穂信 (2007)

category: や行の作家

tag: OPEN 70点 米澤穂信

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