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第12回ファンタジア大賞 準入選:武官弁護士エル・ウィン/鏡貴也

武官弁護士エル・ウィン
1.竜・森・死神・離婚?
2.恋・裁判・やり手・竜殺し
3.誘拐・痛み・心・急接近!?
4.弱さ・強さ・命・それぞれの想い
5.衝突・消滅・もう・いない……

answer.――― 68 点

鏡貴也―――彼こそ富士見ファンタジア文庫をライトノベルの王者から転落させた張本人なのだと思う。『スレイヤーズ』由来の快活なヒロインの一人称、『魔術士オーフェン』由来の能ある鷹は爪を隠すパーソナリティ+本気出したら俺、無敵!の万能感、そして、人があっさりと死んでいく(ライトノベラー的)リアリティ……読みやすい、気持ち良い、んんんんん気持ちィィイイッ!を体現する作風は、編集者からすれば、富士見ファンタジア文庫のDNAを存分に受け継いだサクセサー・オブ・レザーエッジに見えたことだろう。それだからこそ、受賞させてはいけなかった。推してはいけなかった。現状維持。それが意味するところは、常に(緩やかに)変化することにある。電撃文庫が『ブギーポップ』シリーズで拓いたライトノベルの新たな地平に、ライトノベルの親戚筋に当たるビジュアルノベルから端を発する《萌え》なる未知に、富士見ファンタジア文庫は2000年のこの自前の公募賞で気球だけでも上げるべきだった。レーベルの看板作品を物の見事に手本にした優等生な本作への授賞は当時、投稿者に「変わらない」ことを、読み手に「旧い」イメージを決定的に植え付けた。故に、電撃文庫の一人勝ちを許してしまった富士見ファンタジア文庫の現在がある。上述の通り、本作は快活なヒロインの一人称で進むファンタジー。オリジナリティは表題にあるように「弁護士」の要素を取り入れ、世界観の披露とともに、作中で裁判を展開する点。とは言っても、《要素》として取り入れているだけで堅苦しいものではなく、また、感銘を受けるほど作り込まれてもいない。メインはあくまで神をも巻き込むスケールの大きな会話、そして、世界の終焉を賭けたバトルだ。そのシンボリックな場面は、死神の登場(依頼)場面だろう。ここで読者はコメディ的ながらも作品世界の拡がりを堪能出来る。ここまでどこか批判気味に書いているが、鏡貴也の職業作家としての能力は非常に高い。速筆且つ、ツボをわきまえた《要素》を随所に織り交ぜる。この道で食っていく!という方は、彼の創作論を訊いてみるのも良いんじゃないだろうか?もっとも、ただの中二病で、小器用なだけの可能性も高いが……。富士見ファンタジア文庫を堪能出来る一作。

第12回ファンタジア大賞 準入選:武官弁護士エル・ウィン/鏡貴也

category: か行の作家

tag: ファンタジア大賞準入選(金賞) OPEN 60点 鏡貴也

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