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電撃文庫:ぐらシャチ/中村恵里加

ぐらチャチ
1.絶天の彼方より
2.海の出会いにロマンはあったりなかったり
3.あなたの名前はシャチですか
4.うみからきたもの
5.彼と彼女のカルチャーショック
6.ファーストコンタクトの終わりに
7.絶天の向こう側

answer.――― 67 点

爽やかな表紙、のどかな海のある町、ごく平凡な天然少女、そこに喋るシャチが現れるも何が起こるわけでもなく―――相変わらずのスローペースな幕開けに誘(いざな)われて、のほほんと構えていると、いつもの如く発症する“人間嫌い”。人の感情を知識から真似ていくシャチの言動、そして、感情を排した「合理的」な行動が読み手の不安ばかりを煽っていく。予感するのはバッドエンド、辿り着くのは……中村恵利加は本当にブレない。書きたいことが貫かれ、それをストーリーで誤魔化している。諸所のレヴューでは直接的なグロテスクな描写についての言及が多いが、本作の本当の意味でのグロテスクな点は「所詮、人は外見で判断している」という歪んだ主張だ。友情を嘲笑い、それを美談に包んで否定している。こういう著者の“人間嫌い”な部分をクローズアップしてみれば、爽やかな冒頭でさらりと告白される、過去のイジメも性質が悪い。人がオカリナを持っていれば当然、からかわれるだろう。馬鹿にされるだろう。なのに「持たせる」、―――「持たせている」。読み手に人間の醜さを味あわせるためならば、著者は多少の不自然な設定も厭わない。本作はエンターテイメントの観点から見れば物足りない作品には違いないが、中村恵里加という作家を堪能する上では過不足無い作品。文章も相変わらず丁寧だ。もっとも、これを高評価すると勘違いも起こすので、はっきりとつまらないと声に出した方が読み手自身のためにはなるだろう。展開を考えれば、主要登場人物たちの被害が少な過ぎた。自分の主張にまず満足してしまって、物語としてのメリハリが張れていない。これなら賛否を呼んだとしてもバッドエンドで落ち着けても良かっただろう。結局のところ、ファン向けの一作。

電撃文庫:ぐらシャチ/中村恵里加 (2009)

category: な行の作家

tag: OPEN 60点 中村恵里加

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