ナマクラ!Reviews

03/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./05

創元推理文庫:さよなら妖精/米澤穂信

さよなら妖精
1.仮面と道標
2.キメラの死
3.美しく燃える街

answer.――― 71 点

米澤穂信の名を広めた出世作とされる一作。その内容は、何の変哲もない高校生たちと異邦人マーヤとの邂逅、別離、そして、もの哀しい捜索の物語。本作の出版には今でこそ知られる“古典部”シリーズの売り上げ不振により作家に成って早々、作家として崖っぷちに立たされた著者が気まぐれに垂らされたか細い蜘蛛の糸を見事に掴んで、……の1チャンスをものにした背景があるらしい。しかしながら、それで驚くのはあくまで『日常』を取り扱う点。追い込まれて尚、作風を変えないのはまさしく信念である。本作の肝は、「わたし、気になります」の“古典部”シリーズ同様、異邦人マーヤが「面白いです」と日本の文化&習慣を学んでいく過程―――そこに著者の十八番(の送りバント)「日常ミステリ」を挟むのがセールスポイントだ。日本人ながらに自国文化へのカルチャーショックも受ける瞬間もあり、題材の選定も含め、なかなか興味深い出来栄えとなっている。淡々としながら、味のある登場人物たちは上等な「何の変哲もなさ」でなるほど、「日常」を楽しませてくれる。事実上の本編となる三章「美しく燃える街」では、マーヤの故郷ユーゴスラヴィアについての垂れ流しに近い説明が入るが、縁薄い国家だけに知識欲で読めなくもない。あとは漠たる予感へ一直線。正味な話、エンターテイメント性には欠ける。ただ、表題通り、「さよなら」の余韻が本作を良作としているのは理解出来る。

創元推理文庫:さよなら妖精/米澤穂信 (2004)

category: や行の作家

tag: OPEN 70点 米澤穂信

[edit]

page top

« 文春文庫:インシテミル/米澤穂信  |  角川文庫:氷菓/米澤穂信 »

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/751-6fb59bf1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top