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集英社文庫:夏と花火と私の死体/乙一

夏と花火と私の死体
1.夏と花火と私の死体
2.優子

answer.――― 69 点

ナマクラ!Reviews認定のライトノベル界の三大犯罪者の一人、乙一のデビュー作。執筆当時、16歳!という事実と、死体の視点で語られる!という工夫が話題を読んだ。前者に関していえば、実際、衝撃の類に挙げられるだろう。これは「瑞々しい」と評すに相応しい年齢離れ、そして、性別離れした文章だ。生理その他の影響で自我の目覚めが早い女「性」が書いたのなら納得も出来るが、女子と比して、どうしても精神の成長が遅れる男「子」が小説を書けたことに驚嘆を禁じえない。突き詰めれば、執筆作業とは自分と向き合う作業だ。他人がどう考え、どう動くのかを想像しながら描く。そこには自分を律する客観性が必要で、16歳というマスターベーションに忙しい時期は他人の視線なんて構っている余裕がないのが実情だ。なのに、である。倫理観の芽生えていない(←これこそ本作最大の工夫だ!)まだ幼い兄妹を主人公に配し、死体運びを冷静に、且つ、動揺を交えて描き切った。折しも中二病なる言葉さえ存在しなかった時代。「死体」「連続殺人」なる単語が躍る題材は時代のニーズに合致し、無名文庫ながらも歓迎された。もうひとつの話題の源泉である後者「死体の視点で語られる!」は肩透かし気味で、(……いや、語れてねえじゃん)と色々と無茶があったが、大事なのは兄妹の無垢で残酷な作業である。瑞々しい文章とは何か?それに答えをくれる一冊。表題以外に、乙一お得意のどんでん返し短編「優子」収録。こちらも佳作の出来。

集英社文庫:夏と花火と私の死体/乙一 (1996)

category: あ行の作家

tag: OPEN 60点 三大犯罪者 乙一

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コメント

相変わらず、とてもそそられるレビューです。
実は、先週この本を読みたくて図書館で見つからず、「死にぞこないの青」を借りてきたところなのです。次は、これを読みたいです。

ゆう  #svfWGCro | URL | 2012/11/14 18:00 | edit

Re: ゆう

コメント、有難うございます!お誉めに与り光栄です!

> 実は、先週この本を読みたくて図書館で見つからず、「死にぞこないの青」を借りてきたところなのです。次は、これを読みたいです。

これから連続して乙一の作品のレヴューをしようと考えているので、お楽しみください!死にぞこないの青も近々する予定です!

Medeski #- | URL | 2012/11/15 04:25 | edit
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