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集英社文庫:暗黒童話/乙一

暗黒童話
(あらすじ)
突然の事故で記憶と左眼を失ってしまった女子高生の「私」。臓器移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその左眼は様々な映像を脳裏に再生し始める。それは、眼が見てきた風景の「記憶」だった…。私は、その眼球の記憶に導かれて、提供者が生前に住んでいた町をめざして旅に出る。悪夢のような事件が待ちかまえていることも知らずに……。乙一の長編ホラー小説がついに文庫化。

answer.――― 50 点

集英社文庫、そして、角川スニーカー文庫で一癖ある中編、短編を執筆し、着実にキャリアを築いていた乙一が満を持して送りだした初の「長編」小説。当時の乙一は意図的に作風を文庫によって変えていて、集英社文庫ではグロテスクなものを、角川スニーカー文庫ではセンチメンタルなものにし、ファンの間でそれを「黒」乙一、「白」乙一と仕分けられていたが、本作は集英社文庫から出版されたことからも分かる通り、グロテスクな「黒」乙一な作風。初の「長編」ということで気合が入ったのだろう、―――見事に失敗している。おそらく乙一の作品の中で一番「拙い」作品が本作だろう。失敗の原因は、冒頭から挟まれる暗黒童話「アイのメモリー」の存在。この話の質自体は悪いものではないが、本編に実質必要性が無く、その癖、本編に関わっているように描かれるため、挟まれる度に読み手の注意力が(……何が言いたいんだ?)と散漫となってしまう。これならば、省いてしまったほう余程良かった。本作で興味を引かれたのは、眼の移植による影響で成績その他が低下し、ヒロインが親、クラスメイトから現在の自分を完全に否定されること。なかなかの文学的アプローチで、初の長編ならではの挑戦かと思ったが……完全に私の気のせいだった。序盤以外、見事に描かれることなく消えていった。眼の記憶に導かれて遭遇する事件でのグロテスクな描写はニーズを満たせると思うが、展開の拙さは目に余る。これぞ駄作な印象の作品。また、私が乙一に対し、作家としての才能に疑問を抱いたのが本作だったことも付け加えておく。作家には短編、中編は描けても、「長編」を描けない作家がいる。文学の歴史を紐解けば、例えば芥川龍之介がそうであり、乙一もそこに分類されてしかるべき一人だと思っている。

集英社文庫:暗黒童話/乙一 (2001)

category: あ行の作家

tag: OPEN 50点 三大犯罪者 乙一

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