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幻冬舎文庫:死にぞこないの青/乙一

死にぞこないの青
(あらすじ)
飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。

answer.――― 72 点

乙一を一部ではホラー小説家と見る向きがあるが、それは本作での第二の主人公と云える異形の姿を持つ「アオ」のような、実のところ脈絡は無いのだけれど強烈なインパクトのあるキャラクターをストーリーに挟んでくるからなのだろう。そう、本作は要約すれば、「いじめ」の物語であり、逆に云えば、「いじめ」のドキュメントでしかない。そこに主人公にしか見えない「アオ」が登場することで、ごく普通の話をそのインパクトで誤魔化している造りだ。物語としては非常に魅力の薄い本作だが、「読めてしまう」のは主人公の鬱屈とした心内描写にある。乙一は、内向的な主人公を描くのが群を抜いて上手い。主張出来ずに、言葉を呑む、そんな能弁な描写を成立させる。これはあとがき等で言及しているように、自身の実体験が関係しているのだろう。いじめの始まり、疎外されていく過程にはしっかりと段階が設けられており、芸が細かい。本作のいじめの中核には担任教師が配されている。しかし、その設定には無理がなく、本作の価値を高める興味深いものとしている。それだけに、「アオ」の登場意図が安易に映る。「アオ」は実際、いなくても良い。しかし、グロテスクな「アオ」の登場は読み手に歓迎される。そこに乙一のストーリーメイカーとしての弱さを、本作のストーリーの根本的な弱さを私は見てしまう。

幻冬舎文庫:死にぞこないの青/乙一 (2001)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 三大犯罪者 乙一

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