ナマクラ!Reviews

03/1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30./05

第14回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ/西崎憲

世界の果て
(あらすじ)
イギリスの庭園と江戸の辻斬りと脱走兵と若くなる病気にかかった母と大人の恋と謎の言葉。前代未聞の仕掛けに、選考委員の椎名誠氏は「ハメラレタ」と、小谷真理氏は「アヴァンポップでお洒落な現代小説の誕生」と絶讃。幻想怪奇小説の翻訳・紹介で知られる著者の満を持しての創作デビュー!

answer.――― 45 点

女性作家リコと文学者スマイスの出会い―――で始まり、若くなる病気にかかった母親、江戸の詩人、イギリスの庭園、辻斬り、脱走兵、……と「ショート・ストーリーズ」という副題の通り、そこから幾つかの物語が短く展開される。その数、なんと五十と五章。数の上からショートショートのようにも思えるが、その幾つかの物語を裁断し、ショートショートとしている試みが本作のセールスポイント。さて、先に断っておこう―――本作に、エンターテイメントは無い。これは第9回の大賞受賞作「ベイスボイル・ブック」同様の物語無き物語で、「ハメラレタ」だの、「アヴァンポップ」だのの選考委員たちの讃辞は、それを信じて金をレジへと放り投げる読み手の投資を無視した冒涜の類。ショートショートに求められるのは分かり易さ、何より「転」と「結」を1センテンスで同時に成立させるところに作家の職人芸を見るものだが、本作に収められた55章でそれに適うものは見当たらない。55章は繋がっているようで繋がっておらず、結局、裁断されたストーリーは漂うままに閉じてしまう。本作はいわゆる空間を楽しむ小説であり、しかし、それはアマチュアでのみ許される実験である。裁断され、ショートショートとなった短編が一つに収束し、何らかの物語を形成する……バーコードをつける書物ならば、これは最低限の《お約束》だ。「仮に」、リコの冒頭の謳いを倒錯的に表現したとしても、「仮に」、漂う先に庭を設けたとしても、読み手は素人なのだから売り物であるかぎりは《お約束》は守らなければいけない。まあ、個人的に「庭」を用意する発想には感銘を受けた。一つの手法として、覚えておきたい。

第14回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ/西崎憲

category: な行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞大賞 OPEN 40点 西崎憲

[edit]

page top

« 第9回電撃小説大賞 選考委員奨励賞:シャープ・エッジ stand on the edge/坂入慎一  |  第14回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:戒/小山歩 »

コメント

page top

コメントの投稿

Secret

page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://medeski02.blog95.fc2.com/tb.php/777-0fb1d98a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
page top