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第5回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:酒仙/南條竹則

酒仙
(あらすじ)
一文無しとなった旧家の御曹司・暮葉左近は、世をはかなんで死のうとしたところを、「蓬莱酔八仙人」の一人・鉄拐李に助けられる。徳利真人として蘇った左近は、日々清らかな酒を飲んで酒仙の道に精進する。ある時は「龍宮」で泡盛の古酒を、ある時は崑崙山の仙酒竹葉青酒を味わい、そして甲州勝沼の葡萄酒ルバイヤートから、果ては洞庭君の秘蔵酒龍涎香にまでも酔いしれる。そんなある日、邪悪な酒〈魔酒〉を醸す酒蔵業主・三島業造が目の前に現われて……。

answer.――― 60 点

とある機会に西の最高学府の学生の文学賞への投稿小説を読んだことがあるが、冒頭こそ投稿作における《お約束》を守って来るものの、そこから先はチェーホフ、チェーホフと思わず「……チェーホフって君のことじゃないよね?」と確認を取りたくなる虎の威を借るインテリゲンチャっぷりで、肝心の作品はおよそ「読み物」としての体裁を整えておらず、終わる間際に主人公が自殺して幕を引かれた。いわゆる、―――「典型」である。出だしが大事、オチが大事、と創作物の投稿指南書、及びサイトで多く言及されるが、そんなの当たり前である。前者は値段のついていないものを読むための《お約束》であり、後者は創作家としての《お約束》である。そして、前述の「―――「典型」である。」の典型とは、最初と最後の《お約束》だけ守って、中盤で《お約束》を守らない投稿作品を指す。一次、二次選考は通っても、最後まで残らない、あるいは受賞しない輩の壁は多くがここにある。中盤で《お約束》を守ること、これ、すなわちプロフェッショナル(=自分を捨てる者)である。さて、長い前置きを置いた本作はあらすじの通り、徳利真人となった主人公が伝説の酒を飲み歩く―――と書くと、あるいは面白そうなのだが、本作はストーリーを楽しむものではなく、酒にまつわる知識(ex. 中華の酒は、大別して三つに分けられるといってよい)をユーモアとするインテリゲンチャ小説。ヘーゲルだ、アラヤ識だ、『ルバイヤート』だ、フィッツジェラルドだ、と得意げに語ってくれる。まあ、インテリによる『生徒会の一存』だと思ってくれれば良い。なので、我こそインテリゲンチャなり!の方にはオススメです。個人的には、佐藤亜紀のような知識とストーリーを両立させる作風を所望したい。……いや、書けないからこういう作風になるのは分かるんだけどね。

第5回日本ファンタジーノベル大賞 優秀賞:酒仙/南條竹則

category: な行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞 OPEN 60点 南條竹則

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