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電撃文庫:なれる!SE 2週間でわかる?SE入門/夏海公司

なれる!SE
(あらすじ)
平凡な社会人一年生、桜坂工兵は厳しい就職活動を経て、とあるシステム開発会社に就職した。そんな彼の教育係についた室見立華は、どう見ても十代にしか見えないスーパーワーカホリック娘で!?多忙かつまったく優しくない彼女のもと、時に厳しく指導され、時に放置プレイされながら奮闘する工兵。さらには、現場を無視して受注してくる社長のおかげで、いきなり実際の仕事を担当させられることになり……。

answer.――― 71 点

概して、主人公ないし準主人公が作中で作品の全体像を一言で語った瞬間、物語が唐突に「動く」。そして、それは読み手にとって少なからぬカタルシスをもたらす。本作の主人公・桜坂工兵は就職活動に失敗し、一縷の望みに賭けて受かった企業はブラック企業、そして、その職種はSE(システム・エンジニア)。……社会人は辛いよ!というよりも、社会は理不尽過ぎる!という序盤は(他業種の)リアリティを覗き見れるものの、手も足も出ずに罵倒されるだけの主人公の鬱屈もあり、そこに一角ならぬ面白味を見い出すのは難しい。が、女性上司・室見立華の理不尽が極まった罵倒で反転し、桜坂工兵が作品の全体像を一言で語った瞬間、読者は突然のカタルシスを得る。その一言とは「二週間完璧にOJTをこなし、室見のOKをもらったあと、辞表を叩きつける。―――これだ。」だ。正確には、この一文は作品の全体像を語るものではない。しかし、この時点でのこの言葉は読者にとって本作の全体像を掴んだ気になり、そして、実際に物語も「動く」。どうして読み手に動き出す体感を与えるのかといえば、登場人物が《意志》を持ったからに他ならない。《意志》を持たされたのではなく、自ら持った主人公はそれだけで「面白い」。本作のセールスポイントはライトな社会見学、あるいは同業者のあるある/ないない共感、理系属の選民意識を煽る専門用語を散りばめた内容だと思うが、個人的には、この「動く」瞬間をお薦めしたい。作家さん方、やればいいのにやらないのよね。逆に言うと、簡単そうで難しいってことなんだけど。著者はデビュー作でもなかなか感心出来る文章を披露していたが、本作では文章それ自体は流し気味ながらも、上々の構成を成しているのが成長の跡。面白いんじゃないでしょうか?【推薦】させて頂きます。ちなみに、頭が良いってことは世間一般では「応用力がある」ということだと思うが、偏差値の世界では「集中力がある」だと思う。んだから、本作の主人公のスーパーマンも決して不自然過ぎるとは思わない。

電撃文庫:なれる!SE 2週間でわかる?SE入門/夏海公司 (2010) 【推薦】

category: な行の作家

tag: OPEN 70点 夏海公司 推薦

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