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講談社文庫:ノルウェイの森/村上春樹

ノルウェイの森
(あらすじ)
37歳の僕は、ハンブルク空港に到着した飛行機のBGMでビートルズの「ノルウェーの森」を聴き、激しい混乱を覚えた。そして18年前(1968年)の学生時代のことを回想した。限りない喪失と再生を描き、新境地を拓いた長編小説。

answer.――― 85 点

緑と赤のシンプル極まりない装丁、「100%の恋愛小説」なるキャッチコピー、単行本&文庫本を合わせた発行部数800万部超……そこに日本を代表する“旅人”中田英寿が遠征の機中で読んで「死にたくなった」という眉唾なエピソードさえある本作は、村上春樹と云えば、……の代表作。村上春樹は兎角、賛否が分かれる作家ではあるが、売れている分だけ本作に対する風当たりの強さは972hPa、もはや爆弾低気圧を思わせるものがある。古典を愛する(なんちゃって!)インテリゲンチャに特にその傾向が見られ、すべてを否定する様はヒステリーそのもの。それ自体を一種の老害と扱っても良いかもしれない。本作における特徴に「よく遊び、よく寝る」ならぬ「よく死に、よくセックスする」要素が挙げられると思うが、生死の営みはなるほど、強い「記号」である。読み手はその「記号」にエンターテイメントを必要十分以上に感じ、村上春樹を彼ら大好きの古典作家以上の存在に奉るのが気に食わないのも理解出来なくもない……が、読み手ではなく、書き手の視点に立ったとき、本作は村上春樹を再考するに相応しい作品となっている。村上春樹は巷で糾弾されるほど文章は下手ではない。まともに書こうと思えばまともに書けるだろう。ただ、それをしようとしないだけだ。まともに書く―――事象を通して描きたいことを描く。本作にはそんな珠玉の場面がある、給水塔で蛍を解き放つ場面だ。この場面の凄味は、この場面だけ切り離しても成り立つところにある。何を言っているわけではない、だが、何を言っているのかが分かる。特別なことを表しているわけではない、だが、何を表しているのかが理解出来る。『ノルウェイの森』のストーリーがここにある事実。文章技巧という観点では極致の場面と言える。ここを称えずして、何がインテリゲンチャだ。お前ら、「物語」しか読んでねえから「文章」読めねえんだよ。もっとも、私の中で一番忘れらない本作の論評は大学時代の先輩の「『ノルウェイの森』って三十半ばのオバサンとセックスする話だろ?」だった。それで、本当の中庸の人の意見の神髄に触れることが出来たことを付け加えておく。本作を読んで、このまとめ方が出来る人は天賦の才があると思う。是非、未読の方は私の先輩と同じようにまとめられるのか試して頂きたい。上巻/下巻、合わせてのレヴューです。

講談社文庫:ノルウェイの森/村上春樹 (1987)

category: ま行の作家

tag: OPEN 村上春樹 80点

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