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新潮文庫:七瀬ふたたび/筒井康隆

七瀬ふたたび
1.邂逅
2.邪悪の視線
3.七瀬 時をのぼる
4.ヘニーデ姫
5.七瀬 森を走る

answer.――― 82 点

あの火田七瀬が少女から道を歩けば誰もが振り返る淑女となって戻ってきた!早い話(現代っ子には逆に遠回りな話かもしれないが)、市原悦子主演のドラマ「家政婦は見た!」の超能力少女版としても紹介出来る連作短編の秀作「家族八景」に続く七瀬三部作、その第二弾。冒頭、さっそく七瀬が貞操の危機を迎える《お約束》からして読ませてくれる……が、おや?と気づく文体の変化。そして、「1話」が終わり、それが「1章」なのだと気づく事実。心理ドラマの連作短編だった前作から様変わりし、本作は一巻を通した超能力サスペンスとなっている。筒井康隆の、七瀬三部作の凄味はここにある。前作と同一の登場人物を採用しながら、文章を含めたすべてが「違う」のだ。その試みは次作『エディプスの恋人』においても継続されるが、両作に挟まれる本作が一番顕著にソレが表れていると云えるだろう。前作では単独行動だった七瀬は、本作では「仲間」を迎え、貞操と命の危機に遭い続けるストーリー展開。特に四章「ヘニーデ姫」からの謎の組織による怒涛の追い込みは、望む望まないは置いておいても、読者的にはサプライズと云う他ない。次作へ繋ぐのか判別しにくい思わず舌打つオチの付け方と良い、とにかく読み手の予想を裏切ることに力を注いだ一作。前作で見られた一話一話を楽しむ硬質な文章から一転、一作をトータルで楽しむために「雑」化―――軽量化した文章は見事な筆の使い分け。個人的にはヘニーデ姫がその思考演出も含め、唸りたくなるキャラクターデザインだった。この辺、例えば入間人間の悪ふざけな電波女とは格が違う印象。「壊す」にしても読ませてナンボ、文章なんだから読めないんじゃ意味がないよね。

新潮文庫:七瀬ふたたび/筒井康隆 (1975)

category: た行の作家

tag: OPEN 80点 筒井康隆 七瀬三部作

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