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文春文庫:わたしのグランパ/筒井康隆

わたしのグランパ
(あらすじ)
五代珠子は中学校でいじめを受けていた。ある日同級生にからかわれているのを、刑務所から出所してきた祖父「ゴダケン」こと五代謙三に見られてしまう。初めはいじめられているのを隠そうとした珠子も、謙三の正義感や優しさに感化されていく。謙三は不良や暴力団などに立ち向かって問題を解決していくが、昔のいざこざの関係から、珠子を誘拐されてしまう。

answer.――― 75 点

筒井康隆による『時をかける少女』以来のジュブナイル!と喧伝される本作は、第51回読売文学賞を受賞、映画化されれば第27回モントリオール世界映画祭における最優秀アジア映画賞を受賞など、およその名誉を賜ったお行儀の良い作品となっている。それでも冒頭、いきなり「囹圄」というパンチの効いた言葉からして「読ませてくれる」。いや、ほとんどの人はこの漢字を「読めない」ことだろう。エンターテイメントの著しい発達によりどんなジャンルにおいても「すぐに盛り上がれる」ファーストフード的展開が持て囃され、小説に関して言うなれば、一行目が大事!の意味を履き違え、「絶望」など感情のメーターを振り切る単語、「性」や「暴力」と直結した一文を持ち出す安易な工夫が目立つ昨今だが、本作は何かを起こさずとも「読ませる」文章で攻めてきたように、筒井康隆流の『坊っちゃん』とでも呼びたくなる、小難しさを排した気風の良い作品。と書きつつ、「囹圄」の意味が分かってしまえば、……結局、お前もかよwと上述の一行目は大事!の件がご愛嬌となる。「イジメ」と「教育」を扱い、〆に「ヤクザ」で楽しませる構図。表立ててエログロを出さず、しかし、スッと爽やかに混ぜてくるあたりは職人芸で、これくらいの作品ならいつでも書けるよ?という傲岸不遜な著者の主張が透けて見える。説明こそあれ、グランマの行動が腑に落ちないが、そこは人それぞれ。分かる人には分かるのだろう。とりあえず、難しいことを考えず、本作は気風を感じて楽しみましょう。

文春文庫:わたしのグランパ/筒井康隆 (1999)

category: た行の作家

tag: OPEN 70点 筒井康隆

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