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第12回ファンタジア大賞 佳作:アンジュ・ガルディアン ~復讐のパリ/年見悟

アンジュ・ガルディアン
1.天使と悪魔(1)
2.パリの白百合
3.天使と悪魔(2) 始まりの朝

answer.――― 63 点

実質の「勝負所」の2章に入り、(……あー、ブレたなぁ)とやはり「隙」有り、思わず苦笑してしまう本作は“ヤラカシ”編集部の紹介をそのまま引用するならば、幻想のゴシック・サスペンス・ファンタジー。舞台はマスケット銃が映える16世紀のパリ。そこを騒がすのはこの十年間、千人の犠牲者を出す猟奇殺人鬼……しかし、それを追い続ける少女がいた、というストーリー。文章は描写し過ぎず、だからといって軽過ぎずの本格派で、それが《幻想のゴシック・サスペンス・ファンタジー》なんてジョーク染みたラベルに「……ふむ」と一理一考の余地を与えてくれる。しかし何と言っても、……!の作中随一の衝撃は、一章終盤で披露されるヒロインの肉体造形。サスペンス色が強かったストーリー展開に途端、デカダンなファンタジーが顔を出す。良いのか悪いのか、お披露目その時点ではほとんどの読者はまず判断出来ず、まさしく「見」のまま次章を迎えることになる。そして、本稿冒頭でボヤいたようにある種の期待はやはり裏切られる訳だ。さて、おそらく本作は読まれることはないと思うので、もったいぶらずにヒロインの肉体造形を明かしておこう―――腕が三本ある。しかも、第3の腕は滅茶苦茶デカい。読み手は常に思考を停止することを望んでいる。見たこともない展開を期待している。本作はそれを叶えてくれるわけだが、如何せん、外道なサプライズだ。にもかかわらず、案外に受け入れられるのは16世紀のパリ(のサスペンス)というわざわざライトノベルで読みたくない重みから解放してくれるから。問題は、「パリの白百合」と冠せられたように、2章は腕を三本生やしたヒロインが不自然なまでに脇へ追いやられ、白百合衆なる義賊が主役を張る展開。これで勝負あり。著者自身が自作を理解出来ていなかったのが読み手に伝わってしまった。何のためにヒロインに腕三本生やしたんだよ?ああ、差別とかどうでもいいから。暗い生い立ちも興味無い。……さて、じゃあ、読み手は腕三本のヒロインに何を期待したでしょう?“ヤラカシ”が(こいつ、なにテングになってんだ?)と解説でわざわざディスっているように、著者はちょっと頭がイタいご様子。自分を見つめ直し、身の丈にあった物語を編みましょう。

第12回ファンタジア大賞 佳作:アンジュ・ガルディアン ~復讐のパリ/年見悟

category: た行の作家

tag: ファンタジア大賞佳作 OPEN 60点 年見悟

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