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電撃文庫:鉄コミュニケイション/秋山瑞人

鉄コミュニケイション
1.ハルカとイーヴァ
2.チェスゲーム

answer.――― 76 点

未だ続刊(というか、完結)を熱く望まれる『E.G.コンバット』の次作にして、著者にとって初めての完結シリーズとなった本作は、現在に続く秋山瑞人イズム溢れる一作……と言っても、原作のクレジットがあるように、本当のオリジナル作品は次作『猫の地球儀』まで待たなければならない。それを踏まえて言うならば、本作はその『猫の地球儀』を描くための試作品、兄弟作と云える内容。ストーリーラインは文明崩壊後の地球を舞台に、人類最後の生き残り(?)の少女ハルカが気のいいロボットたちと暮らす平穏な日々に突然現れた新しい仲間、漂い始めた不穏な空気、そうして、数奇な巡り合わせが事件を起こす―――といったもの。序盤は「終末」という世界観に頼った遅々とした展開で、これぞ秋山瑞人!と唸る文章も少なく、間延びした退屈ささえ覚える。それでも、ハルカと瓜二つな顔を持つイーヴァが合流し、実質的な主役となって堕ちていく様はスロウな序盤を帳消す圧巻の一言。思春期に読めば、イーヴァの心打たれる醜い行動、醜い感情に、大人への階段をひとつと言わず、ふたつ、みっつと上げてくれるはずだ。本作における秋山瑞人の表現技巧は戦闘描写に見られる程度で、後の傑作『イリヤの空 UFOの夏』のような凄味は無いが、読み手に一つの感情をひたすらクローズアップさせていく演出は他作家も見習うべきところだろう。ややご都合な巡り合わせによる内ゲバなため、伏線が出揃ってくると、感心するよりもフッ……と素に戻ってしまう難こそあれ、ライトノベルというフォーマットの許すかぎりのビター・ハッピー&マイルド・バッドな秀作。付け足しのエンディングは時を遡っての一幕。これがあるから本作が記憶に残るのを付け加えておく。全2巻、合わせてのレヴューです。

電撃文庫:鉄コミュニケイション/秋山瑞人 (1998~1999)

category: あ行の作家

tag: OPEN 70点 秋山瑞人

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