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第17回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:金春屋ゴメス/西條奈加

金春屋ゴメス
(あらすじ)
近未来の日本に鎖国状態の「江戸国」が出現。競争率300倍の難関を潜り抜け、入国を許可された大学二年生の辰次郎。身請け先は身の丈六尺六寸、目方四十六貫、極悪非道、無慈悲で鳴らした「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった! ゴメスに致死率100%の流行病「鬼赤痢」の正体を突き止めることを命じられた辰次郎は―――。

answer.――― 78 点

タイムスリップすることなく、現代を舞台にして時代小説を成立させ、選考委員諸氏からアイディア賞!とやんやの喝采を贈呈された本作。あらすじにあるようにバチカン市国よろしく国の中に国を造り、しかも、時代を逆流させたその《江戸国》で「鬼赤痢」なる近代的な細菌事件を起こす著者の手腕は天晴れの一言。罪人震えるゴメスの迫力、気風の良いその手下たち、幼少時の記憶曖昧な主人公、繁忙極める下宿先の飯屋、住民たちの江戸時代への憧憬的成り切り……登場人物、住居、風俗まで提示される全てにいぶし銀な魅力がある本作。綴る文章も、媚びず―――されど、読みやすくのA級の筆で、それらが組み合わさった冒頭から展開されるエンターテイメントには「格」さえ感じさせる。日本ファンタジーノベル大賞の受賞作は単発が基本で、この出版当時には第13回の『しゃばけ』以外にシリーズ化していなかったが、本作も例外的にシリーズとして第2巻が発行された事実からも、編集部の本作への可能性、著者への期待が伺えるだろう。もっとも、その第2巻で打ち切られたように、本作でファンを掴み切れなかったのは作品の「格」に見合わぬ「鬼赤痢」の正体から。実質、中盤で明かされてしまう謎の流行り病「鬼赤痢」は死者の数の割に伴うドラマやら陰謀やらがこじんまりとしていて、刃傷絡めた切迫の終盤の追い込みもどこか熱が入らず、ラストもラスト、ゴメスの遠山の金さんばりの登場シーンさえ起死回生の一手にはならず、……と実に口惜しい仕上がり。それでも、鎖国状態の《江戸国》ならではの事件は、詰まる/詰まらないの二択を迫られれば、やはり詰まる―――面白い!と答えたくなる逸品。まずは世界観を楽しむつもりで頁を捲りましょう。何気に、ゴメスを筆頭に全てのキャラクターに掘り下げられる要素があるのもGood!

第17回日本ファンタジーノベル大賞 大賞:金春屋ゴメス/西條奈加

category: さ行の作家

tag: 日本ファンタジーノベル大賞大賞 OPEN 70点 西條奈加

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