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第9回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない/朝田雅康

二年四組 交換日記
(あらすじ)
私立伯東高校。問題児ばかりで構成されたクラス、それが二年四組だ。クラスのボスである委員長は強権を発動し「皆の心をひとつにする」ために交換日記を開始する。日記は誰が書いているのかわからないようにされ、登場するクラスメイトも属性に基づく異名や派閥で表現される。日記には予想外の事件や恋が描かれて……?

answer.――― 73 点

まさか、まさかのスーパーダッシュ小説新人賞で出会ってしまった、久々の快作。これぞライトノベルのあるべき姿!と推したくなる理由は、表紙を捲って、すぐそこ→!な折りたたまれている登場人物紹介を兼ねたカラーイラストから。ライトノベルの定義を語るとき、イラストの有無が挙げられることがあるが、私見を述べさせて頂ければ、イラスト有ってこそライトノベルだと思っている。これに異議がある方がいるならば、それはおそらくイラストを販売促進の効能程度にしか求めていないからだろう。裸や下着姿、登場人物が喜怒哀楽の感情を露わにしている場面、それらは文章から興したイラストで、出来に可否はあっても、それ以上の感想は出て来ないオーソドックスなイラストだ。確かに、これなら必ずしも必要は無いだろう……が、イラストが一枚それ自体で「作品」を表すモノであればどうだろう?踏み込めば、イラストは作中に有るモノを描くのでなく、作中に無いモノを描くべきだ。それは例えば、『君のための物語』の【第一章】を表すイラストであり、『プシュケの涙』における表紙である。読み手の願望を叶える、作品を完成させるための「不可欠な」イラスト。ライトノベルはイラストが許されるジャンルなのだから、イラストにも販促以上の作品性を求めていくべきだと思う。まあ、実際は相応のセンスが要るので、『イリヤの空 UFOの夏』の映画ポスター風の章紹介やら、最悪、『ダブルキャスト』の表紙のようなファンサービスな工夫でも構わない。そんなこんなで本作の目玉イラスト、35名の顔写真と異名はあれども、本名伏された二年四組在籍一覧表。これがあるからこそ、本作は「完成品」となった。本作は問題児まとめられたクラスの一事件、その顛末を交換日記を用いて描く異色の群像劇なのだが、これが群も群で、物の見事に35名が乱れ動く。日記中では生徒は異名で統一され、最初は誰が誰だか分からないのだが、頁が進むに連れて、名前の空欄が確かに埋まっていく労作の構成が素晴らしい。本作はズバリそのまま《パズル》であり、読者が在籍一覧表を頼りに解いていくのが本作を楽しむ本道だ。故に、ストーリーを読みたい、となると構成難を起こしてしまう実験作でもある。ながらに、イラストの有用性を証明している作品として応援したくなる佳作。【推薦】させて頂きます。異名を通して、キャラクターを書き分けているのも良い。

第9回スーパーダッシュ小説新人賞 佳作:二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない/朝田雅康  【推薦】

category: あ行の作家

tag: スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞(佳作) OPEN 70点 朝田雅康 推薦

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