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ソノラマ文庫:吸血鬼ハンター"D"/菊地秀行

吸血鬼ハンター“D”
1.呪われた花嫁
2.辺境の人々
3.吸血鬼リィ伯爵
4.妖魔の弱点
5.必殺・飛鳥剣
6.血闘―――ひとり十五秒
7.吸血鬼ハンター死す
8.剣光、秘儀を斬る

answer.――― 80 点

おそらく、現代の作品で出会うことはもはや出来ないだろうHEROがここにいる―――。菊池秀行の数あるシリーズ作品のなかでも知名度高い「吸血鬼ハンターD」シリーズ、その幕開けたる本作は、人類の仇敵「貴族」マグナス・リィ伯爵が幼い弟と暮らす美少女を己の花嫁へとネチネチ迎えようとしていたとき、凄腕の吸血鬼ハンター“D”がたまたま通って雇われる!というモノ。作品世界、作中人物に課された設定の「謎」を解いていくスタイルは、SFを基盤にしたもので、文章を中心に軽量化図られる昨今を鑑みれば、やはり読み手を構えさせる重厚な印象。何より過去と現在を対比させてくれるのは、主人公に寡黙を許し、気障を認めることだろう。ここでひとつ、余談ながらに問題の提議を。―――当代、“D”のような主人公を誰がクリエイト出来るだろうか?時代の変遷から新旧の区別が生まれ、「旧」と見なされたモノはすべからく淘汰の憂き目に遭うが、この“D”のような主人公像は果たして「旧い」のか?旧いならば良い、見掛けないのも到し方ない。しかし仮に旧く感じられないのならば、寡黙を許し、気障を認める故にヒロインをヒロインたらしめるこの主人公像を、私たちは「喪ってしまった」ことになる。本作をライトノベルと謳うのはやや語弊があるかもしれないが、個人的にスニーカー文庫あたりで現在に継がれる後継像を見つけたかったな、と。戻って、人物描写から戦闘描写まで「描写」あらば隙無く重装備な本作は上述の設定の「謎」解答、そして、要所で人の悪意を引き金に、そこから血飛沫舞う戦闘で次頁へ牽引する「剛」な展開が魅力の作品。著名シリーズ故に本作の「肝」である“D”の出自、美醜を体現したアートな肉体造形を知ってしまっていたが、それでも、終盤で明かされる《復活》への蠢きは迫力満点。噂に違わぬソノラマ文庫のエース作品、そのクオリティを堪能出来る。ただ、ようやく巡ってきた「貴族」リィ伯爵との決戦は残りわずかな頁数を以って執り行われるため、若干と言わず、小物に思えてしまうのは頂けないところ。麗銀星で頁を使い込み過ぎたネ。作品の貢献度で言えば登場から退場までの「三姉妹」のコストパフォーマンスの高さが何気に一番感心しますた。

ソノラマ文庫:吸血鬼ハンター"D"/菊地秀行 (1983)

category: か行の作家

tag: OPEN 80点 菊地秀行 吸血鬼ハンターD

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