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ソノラマノベルス:インベーダー・ストリート/菊地秀行

インベーダー・ストリート
1.風の名はアムネジア
2.インベーダー・サマー

answer.――― 74 点

まずは、著者の本作に収められた作品への声明を御覧下さい。

『インベーダー・ストリート』に収められた二作は、私が最も好きな初期作品である。『インベーダー・サマー』は第三作、『風の名はアムネジア』は第四作―――この二作には、作家としての踏み出した私の気負いと闘志が漲っている。それは、今なお、読者を挑発し、面白い、と言わせることを止めない。若書きだが、その若さこそ、実は小説の生命だと読み取っていただきたい。

どうですか?まるでアメ公に目の前でガムを食っちゃべられながら、中指を突き立てられたような錯覚に陥りませんか?でも、これで良いのです。読み手と書き手の関係はこれくらい緊張感があったほうが健全です。「魔界都市<新宿>」「吸血鬼ハンターD」など、多くの著名シリーズを持つ菊池“Duke”秀行。シリーズ以外の単発の作品も数知れず、どこから手をつければ良いのか皆目見当つかないのが、後追いの読み手、そのあるあるな悩み所ですが、上述のような挑発―――「この作品を扱き下ろせるもんなら扱き下ろしてみろっ、凡人どもがっっ!」なるビッグマウスを叩かれれば、こちらも(……舐めんなよ?)と取る物も取り敢えず真剣で斬りつけたくなるものです。本作は別冊の単行をまとめた企画本。著者自ら若書きと謳うように、両作ともに手抜き無しのエゴイズム溢れる筆が魅力で、特に三作目にも係わらず、本作では敢えて後ろに配したのだろう『インベーダー・サマー』は、思春期の恋とは!の内容を含めた若気の至りが狂い咲く。正味な話、SFとはいえ、指一本でチンピラ半殺しーの、男連中最初から最後まで初恋ドッキリーの、事件は青春の一言で片付けーの、殺し屋(頭)痛いーの、とギャグにさえ思える「超」展開満載なのだが、目血走らせたDQNに「この作品を扱き下ろせるもんなら(ry」と喉元に筆ペン突きつけられれば「す、凄いッス!公爵、この作品は凄いッス!」と答えざるを得ない展開度外視させる脅迫的且つ、妄執的な文章が(マジで)凄い。腐乱死体でもあんのか、ここには!?と至る所で描写が蠅のようにまとわりつき、皮肉なく、若書きなる意味が解る逸品となっている。その点、四作目の『風の名はアムネジア』は心落ち着け、物語及び展開を修正しに来ている印象。突如、言葉の意味すら失った世界、そこから起こった惨劇の末の現在。謎のヒロインから主人公に課される「仲間探し」はバッドエンドさえ予感させるスリリングなリードブロー。が、言葉を失った世界故に、主人公の台詞がひたすら「ひらがな」というのは成る程、若書きな拷問である。しかし、声明通りの野心溢れた入魂の両作。「作家」の自負がある方は一作はこういう―――俺だ!俺だ!!俺だ!!!俺だ!!!!な若書きを残して欲しいね。本作の配点は『インベーダー・サマー』は76点、『風の名はアムネジア』は71点、両作を加して除して四捨五入の点数です。

ソノラマノベルス:インベーダー・ストリート/菊地秀行 (2005)

category: か行の作家

tag: OPEN 70点 菊地秀行

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